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翻訳コラム

COLUMN

第145回π.という商標が米国で

2014.06.05
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

商標のニュースが最近は盛りだくさんです。
米国で「π.」という商標が衣料品について今年の1月に登録されました。米国商標登録4473631号です。

π.

しかし「π」を付けた衣料品がオンラインで販売されているために、これを削除するように商標権者の弁護士が請求したそうです。このニュースを紹介してくれたのは、WIREDの「円周率記号「π」に商標登録:オンラインショップに削除要求」(http://wired.jp/2014/06/02/pi-takedown/)です。
しかし「π.」という商標が登録されたのはすごいことです。日本の商標審査基準を見ると、ローマ字1文字は登録できないと記載されていますが、πのようなギリシャ文字はどうでしょうか。 日本特許庁ウエブサイトのIPDLで検索してみると、πを少し図形化したり、「パイ」というカタカナを添えて登録になっているものがいくつかありました。ましてや「π」+「.」 は十分識別力があります。ローマ字とギリシャ文字ではギリシャ文字の方がもちろん身近ではなく、ギリシャ文字+「.」であれば、十分誰の出所かを表示できるのでしょう。

ところで日本でもとうとうサウンドマークや色の商標が導入されます。商標法改正が5月14日に公布されました。米国では既にサウンドマークのみならず、匂いの商標、位置の商標、ホログラム、動きの商標などが登録されている。
新たな商標が加わることにより、我が国でも新たなビジネスチャンスが広がります。サウンドマークを出願するにはどうするのか、識別力はどのような場合にないといえるのか、侵害とはどういう場合なのか、などこれまでの文字や記号、立体商標とは異なる新たな論点が必然的に増えてきます。各地で説明会が開かれています。この情報もお伝えしていきたいと思います。

今週のポイント

  • 米国で「π.」という商標が衣料品について今年の1月に登録されました。米国商標登録4473631号である。
  • しかし「π」を付けた衣料品がオンラインで販売されているために、商標権者の弁護士はこれを削除するように請求した。
  • 日本でもとうとうサウンドマークや色の商標が導入される。商標法改正が5月14日に公布された。米国では既にサウンドマークのみならず、匂いの商標、位置の商標、ホログラム、動きの商標などが登録されている。

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
  • なるほど図解特許法のしくみ
  • こんなにおもしろい弁理士の仕事
  • だれでも弁理士になれる本
  • 改正・米国特許法のポイント