第146回東宝がアメリカでゴジラ関連でビール会社を提訴
東宝がアメリカ・ニューオリンズで、「メカゴジラ」の商標やキャラクターに類似するビール「メカホプジラ」が販売されたため、これを提訴したが、ビール会社が名称を変更して決着した、とのニュースを聞きました。
このニュースを紹介してくれたのは、msn産経ニュース「人気者ゴジラ、米で訴訟30件以上「メカゴジラ」もじったビール名は変更で決着 東宝」(http://sankei.jp.msn.com/world/news/140605/amr14060511320006-n1.htm)です。
USPTOのサーチサイトTESSで「メカゴジラ」の東宝の商標を検索しました。以下の商標と思われます。
MECHAGODZILLA
米国商標登録74578914号
おもちゃ、ゲーム、機械で動くおもちゃなどに商標登録されています。
そしてTOHOがOwnerとなっている商標を他に検索し、以下のようなキャラクターの商標を発見しました。
怪獣は昔から苦手なのですが、ニュースの写真に出ている缶ビールのキャラクターとこの商標が同じかどうか見比べましたが、鮮明には見えず判断がつきませんでした。商品についても、この登録商標については、クリスマスツリーの飾り、ボードゲーム、カードゲームなどで、ビールについてもこの商標が登録されているかは今のところ調べがついていません。
メカホプジラとメカゴジラは類似するでしょうか。
メカの部分が識別力がないと思われます。「メカ」は機械で動くという意味ですから、「機械で動くゴジラ」という意味を思わせ、「ゴジラ」が要部となります。「コジラ」と「ホプジラ」が似ているか、ということに加え、ゴジラの著名性、キャラクターが似ているということもあったのでしょう。
相手方の会社は「メカ」は使い続けるとのこと。「メカ」は前述したように、「機械で動く」の意味で識別力がないため、誰でもが使えることばなので、相手の会社としてはほとんど顕著性を出すことができなくなってしまいました。
東宝がアメリカでもこれほどまでに商標管理に熱心であったとは驚きました。しかし考えてみれば映画に関連したグッズは数多く、映画のキャラクターはほとんどの商品に関連してくるので、東宝としても無関心ではいられないでしょう。
今週のポイント
- 東宝がアメリカで「メカゴジラ」の商標やキャラクターに類似するビール「メカホプジラ」が販売されたため、これを提訴したが、ビール会社が名称を変更して決着した。
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
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