第194回もうすぐ
「もうすぐ〜だ」という言い方、中国語だといくつか言い方がありましたよね。覚えていますか?
「もうすぐ帰国だ」というのを色々な表現で言ってみます。
- 要回国了。 yào huí guó le (要〜了)
- 就要回国了。 jiù yào huí guó le (就要〜了)
- 快要回国了。 kuài yào huí guó le (快要〜了)
- 快回国了。 kuài huí guó le (快〜了)
どれも「もうすぐ帰国だ」と訳せますね。テキスト類にも同じように書かれているのですが、当然ながら少しずつ微妙にニュアンスが違うようです。
まず1番。最もシンプルな形ですね。「要 yào」は「〜したい」「〜しなければならない」という意味の助動詞として習ったことがあると思いますが、要するに近い未来を表す言葉だとお考えください(「〜したい」も「〜しなければならない」もこれから起こることを言っているという意味では「未来形」ですよね?)。
で、さらに文末に「了」がついているのです。文末の「了」は変化を表します。ですから「要回国了。」は「要回国」という状態になった、という意味。つまり「(近い未来に)帰国するという状態になった」→「もうすぐ帰国だ」ということになるのです。
さて1番に「就 jiù」という言葉がくっついたのが2番の「就要〜了」です。「就」は「すぐに」というような意味があるのはご存知ですよね?
ですから、2番は1番よりも少し帰国の時期が差し迫っている感じが出るようです。
また2番は、その行為が起こる具体的な「時」を言うことができます。例えば帰国するのが明日であるなら、このように言うことができます。
2'.明天就要回国了。
míng tiān jiù yào huí guó le
明日にはもう帰国する。
このように、時間を表す言葉を入れることができるのは1番と2番だけです。特に2番が多いです。3番4番は入れられません。
- ×明天快要回国了。
- ×明天快回国了。
次に3番を見てみます。1番「要〜了」に「快」という副詞がくっついただけですね。これには「まもなく」とか「もうすぐ」というような意味があるので、言ってみれば上記の「時間を表す言葉」と言えなくもありません(具体的ではないですが)。
れが「時間を表す言葉」扱いになっているのであれば、「明天」など別の「時間を表す言葉」が入れられないのは当然ですよね。「明日もうすぐ帰国です。」だと「明日なのかもうすぐなのか、どっちかハッキリせんか〜」と怒られそうです(笑)。
さらに3番から「要」を省略したのが4番です。「要」が省略されることで「快(まもなく)」が直接動詞にくっつくことになり、切迫感が出ているようです。例えば文末の「了」が「吧 ba」だったとしたら。。。
快回国吧。
kuài huí guó ba
さっさと帰国しなさい。
ということになりますよね。「快」が直接動詞にくっつくと、「もうすぐ」というよりは「早く、さっさと」というような意味になります。で、「快回国(さっさと帰国する)」の文末に、状況の変化を表す「了」がついて「さっさと帰国する、という状況になった」→「まもなく帰国だ。」という意味になるわけです。
こういうイディオムって、英語では意味もたいして考えずに丸覚えした覚えがありますが、中国語だと漢字を使っているので「どうしてこういう意味になるんだろう」なんて考えながら覚えることが容易です。他のイディオムについても色々考えてみてくださいね。同じような意味だと思っていても微妙なニュアンスの違いが感じ取れるようになると思いますよ。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本