第220回いくらですか
中国に旅行に行ったら、色々買い物をする機会があると思いますが、最近は本当に皆さん商売熱心で、おみやげ物屋さんなどだと本当にうるさいぐらいですね。僕が中国語を始めた20数年前なんかだと、ほしいものがあっても店員さんが取り合ってくれないことすらありましたのにね〜(笑)。
さて、買い物をする時、よほどの大金持ちでない限り、値段は気になるところですよね?だから値段がいくらか尋ねる言い方はとても重要です。中国語だと何と言うかご存知ですか?
多少钱?
duō shao qián
これですよね!
「多少 duō shao」というのは、数量を尋ねる疑問詞で、その後に「钱 qián (お金)」がついていますので、2つ合わせて「どのくらいのお金ですか?」、つまり「いくら?」という意味になるのです。
とりあえずこれだけ覚えておけば十分なのですが、一部のテキストにはこんな表現も出ています。
怎么卖?
zěn me mài
「怎么 zěn me (どのように)」は方法を尋ねる疑問詞でしたよね?「怎么」の後には動詞が入り、その動詞の表す動作をどのように行うのかを問います。
ですから「怎么卖?」は直訳すると「どのように売るのですか?」という意味です。まぁ結局のところ値段を尋ねているので、多くの場合この表現も「いくらですか?」と訳されているようです。
「多少钱?」と「怎么卖?」、どちらも値段を尋ねる表現ですが、全く同じように使っていいのでしょうか?実はそうとも言えません。
「怎么卖?」は上にも書いたように、元の意味は「どのように売るのか」という意味ですね。つまり、売り方を尋ねているのです。
中国では魚や肉、野菜とかは、量り売りの場合が多いですよね?ですから、例えば1斤(500g)20元とか、そういうふうに、重さでいくらか決まってきます。それを尋ねるのが「怎么卖?」です。1斤いくらとか、場合によっては3つでいくらとか、色々な売り方がありますよね。それを尋ねるのです。
例えば、魚を売っている屋台で魚を買うとしましょう。
まずおじさんに尋ねる時は「怎么卖?」がいいでしょうね。
おじさんが「五块一斤 wŭ kuài yì jīn (500gで5元だよ)」と答えたとしましょう。
では具体的に自分の気に入った魚を指差して、この魚はいくら?と尋ねたい時は「多少钱?」と言うのですね。
すると、おじさんはその魚の重さを秤で量って「三斤,十五块! sān jīn, shí wŭ kuài ! (1.5キロだから15元だね!)」と答えてくれると、まぁそんな具合です。
お分かりでしょうか。ちょっと使い分けがあるのですね〜。
あと、友達の持ち物を指差して「これいいね、いくらしたの?」と尋ねる場合なんかは「怎么卖?」は絶対使いません。分かりますよね?友達はそれを売っているわけではないのですから、こういう場合は「多少钱?」を使いましょう(笑)。
皆さんも中国に旅行に行ったら、ぜひ庶民的なところで買い物してみてください。なかなか楽しいですよ。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本