第230回爆笑ネタ……ではなく(笑)
みなさんもご存知のとおり(かどうか知りませんが…笑)、伊藤はNHK国際放送局(ラジオ日本…短波放送なので日本のラジオではなかなか聞けません)の中国語放送に携わっています。
よく「ラジオ中国語講座の先生やってるんですか?」と尋ねられるのですが、そうではありませんので誤解のないようにお願いします(笑)。
ラジオ日本では、なかなか面白い番組をご用意しています。以前月曜日にやっている日本語講座の直後に5分間だけやっていた番組がありました。その名も、、、
东京乐园
dōng jīng lè yuán
この番組のDJは、日本でも人気の中国人タレント「ローラチャン」さんでした。
ローラチャンさんは日本の番組で日本語を話しているところしか見たことないという人も多いでしょうが、当然ながらこの番組では中国語で話していました。すごく早口で、しかもちょっと南方風のなまりもあるので、中国語初心者には厳しかったかもしれませんが、とにかくすごいハイテンションの番組で、しかもローラチャンさんが天然な感じを隠さずに出しまくっていたため、非常に面白かったです。
さて、上記のNHK国際放送局(NHK World)の中国語放送のページには、番組紹介の文章が載っています。「东京乐园」の紹介も載っていたのですが、この部分は「东京乐园」の楽しい雰囲気そのままに、ちょっと軽い感じの中国語で書かれています。
僕は仕事柄、普段から少々オカタイ感じの中国語に接することが多いので、こういう軽い感じの、ちょっと若者言葉的な、もしくはネット用語的な言葉って新鮮に見えるのですよ(笑)。ですから、この「东京乐园」の番組紹介も、僕にとっては非常に面白かったです。
で、ちょっと面白そうな言葉が、この番組紹介にいつも出て来ていました。
笑料
xiào liào
「本コーナーでは、毎回テーマを決めてリスナーのみなさんから『笑料』を募集します。」というような感じで使われています。
「料」は「资料 zī liào」の「料」ですから、「笑料」は「お笑いネタ」というような感じでしょうか〜。
また、同じような言葉でこんなものもありました。
爆料
bào liào
これはどういう意味なのでしょうか。僕は安易に「爆笑ネタ」かと思ったのですが、ちょっと調べてみると、どうも違うみたいです。ネットで検索してみると、この言葉は「人の知らない特ダネ」のような意味だと出ていました。
え?では、「暴露ネタ」のような意味なのでしょうか?
だったら、「爆 bào」より「暴 bào」とか「曝 bào」のほうがいいような気がするのですよね。
そこで、中国人に尋ねてみると、やはり彼女も、最初は「曝」がいいのにと思っていたそうです。
ここで、もっとも権威のある辞書『现代汉语词典』(商务印书馆)をひもといてみると、「爆」のところにこんな説明が出ていました。
出人意料地出现;突然发生
chū rén yì liào de chū xiàn ; tū rán fā shēng
意表をついて現れる、突然発生する
この「爆料」の「爆」は、この意味で使われているのでしょうね。つまり「意表をついて現れ出た特ダネ」というような感じでしょうか。
この言葉は最近とてもはやっているそうです。動詞としての用法もあるようで、こんなのを見つけました。
欢迎来爆料!
huān yíng lái bào liào
みなさんここで秘密をぶちまけて!(←かなり意訳…笑)
新しい言葉ってすぐ廃れていくものも多いのですが、「爆料」はどうでしょうね〜。ちょっとみなさんも観察してみてください。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本