第249回台湾の中国語
台湾で話されている言葉は、台湾の方言「台湾語(台語 tái yŭ)」がありますが、それ以外に標準語とされる「國語 guó yŭ」というのがありますね。
この「國語」は大陸中国で使われている標準語「普通话 pŭ tōng huà」と基本的に同じです。
僕たちのように日本で中国語を学ぶ場合、どのテキストもほとんどすべて、大陸中国の「普通话」を対象としていて、語彙も文法も発音もすべて大陸風のものを学ぶことになります。
上にも書いたように台湾の「國語」は大陸の「普通话」とほとんど同じ言語と言っていいので、我々が習った中国語(「普通话」)を使えば大体通じます。
実際、僕も台湾に行って、自分の中国語が通じなかった経験はほとんどありません。
・・・が、相手の話す中国語には、戸惑うことがイッパイ!(笑)
まず、発音。僕たちのように「普通话」に慣れた人にはちょっと違和感を覚えてしまいます。たとえば軽声があまりないので、「普通话」とはリズムが違って聞こえるような気がします。
それから漢字が違いますよね。台湾では日本でいう「旧字体」に近い「繁体字fán tĭ zì」を使っています。それゆえ日本人たちには評判がいいのですが、僕のように大陸の「簡体字jiăn tĭ zì」に慣れている人は、台湾の本や雑誌を見ると真っ黒に見えて、なんだかイライラしてきます(笑)。
それから、一部の語彙も大陸と台湾では違うようです。これが結構やっかいです。今日は台湾と大陸とで言い方の違う言葉を少しご紹介したいと思います。
オートバイ
これが全然違うようです。
大陸では「摩托车 mó tuō chē」
台湾では「機車 jī chē」
大陸で「機車(簡体字だと“机车")」と言えば、機関車のことを指すと思います。全然違いますね〜。
路線バス
これ、以前台湾に行った時に通じなかったことがありました。
大陸では「公共汽车 gōng gòng qì chē」
台湾では「公車 gōng chē」
台湾の「公車」は「公共汽車」を略したものだそうなので、「公共汽車」と言っても通じるはずなのだけど、通じなかったのです。単に発音が悪かったのかもしれませんが(笑)。
インターネットカフェ
日本でも行ったことがないので、よく知りませんが(笑)。
大陸では「网吧 wăng bā」
台湾では「網咖 wăng kā」
大陸のほうの「吧」は英語のbarから来ているようですね。台湾の「咖」は「カフェ」から来ているようです。1文字目の字はどちらも「網」という字ですが、これは「インターネット」のことを表します。
タクシー
これには苦い思い出が(笑)。
大陸では「出租车 chu1 zu1 che1」
台湾では「計程車 jì chéng chē」
大陸ばかり行っていると「計程車」という言葉など見ることも聞くこともないので、僕は全く知りませんでした。ある日、台湾の文書を翻訳する仕事をいただいた時にこの「計程車」が出てきたのですが、意味が分からずずいぶん苦労した覚えがあります。
まぁ、おかげでもう忘れませんが(笑)。
語彙の違いは、僕たち外国人にとっては結構大きいですよね。もっともっとありますが、とりあえず今日はここまでにします。皆さんも色々ご存知でしたら教えてください。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本