第285回年齢
年齢の言い方、比較的早く習いますよね?どう言いますっけ?
例えばこんな感じの表現が出てきますね。
我今年三十岁。
wŏ jīn nián sān shí suì
習った時、僕はあまり気にしなかったのですが、たいてい年齢を言う時は「今年jīn nián」という言葉がついています。
例えば日本語ならどうでしょう。
私は今年30歳です。
この表現って、今年の内に30歳になるけどまだ30歳になっていない可能性がありますね。もしもうすでに30歳になっている(今年の誕生日は過ぎた)場合なら:
私は今年30歳になりました。
となるのではないでしょうか。
いや、むしろ日本語の場合「今年(ことし)」という言葉はあまり使いませんね。ふつうは「私は30歳です。」もしくは「私は今30歳です。」というような気がします。「今年」を使うなら「今29歳ですが今年30歳になります。」というような場合ですかね。
でも中国語では年齢を言う時になぜか「今年 jīn nián」を言う場合が多いように思います。なんだか不思議ですよね?
これは、どうやら数え年の言い方の影響のようです。
日本でも以前は数え年をよく使っていましたね。皆さんはご存知ですか?もう若い人はよく分からないかもしれませんね。
数え年は、生まれた時点で1歳と数え、その後1回目の正月で2歳になり、その後は正月を迎えるたびに1つ歳をとっていきます。
今日本で多く使われているのは満年齢ですね。満年齢は生まれた時点では0歳、その後誕生日を迎えるたびに1つ歳をとっていきます。ですから数え年と満年齢では1つ〜2つ数字が違うのですね。
数え年では、正月で全員が一斉に1つ歳をとります。ですから、誕生日に関係なく、「今年30歳」と言えば、迷うことなく年齢が分かるわけです。誕生日をもう過ぎているのかどうか気にしなくてもいいわけです。
中国は、今は主に満年齢を使っているようですが、以前はやはり数え年を使っていたようです。
ちなみに、
満年齢のことは「周岁 zhōu suì」と言います。
数え年のことは「虚岁 xū suì」と言います。
で、僕は2人の中国人に年齢の言い方を尋ねてみたのですが、2人とも「地域によって、年齢層によって、言い方が違うかも」と言いつつも、大体同じような説明をしてくれました。それは、、、
「春節が来るたびに1つ年齢を足していく。」
そう、つまり数え年の数え方ですね。
しかし、面白いのは、その時口にする年齢は満年齢(つまりその年誕生日を迎えた後の年齢)を言うのだそうです。
例えば伊藤の場合だと、1968年7月23日生まれなので、2016年の例えば3月時点だと満47歳。誕生日で48歳になります。数え年だと49歳です。こんな僕の年齢を言う場合、僕の尋ねた中国人の数え方で言うと、こうなるわけでしょうかね。
我今年四十八歳。
wŏ jīn nián sì shi bā suì
日本だと「僕は今47歳です。」となると思うのですが、2016年の3月だと春節を過ぎていますから、誕生日がまだ来ていなくても誕生日でなる年齢(僕の場合は48歳)を言うのだそうです。
ただ、履歴書など正式な書類で年齢を書く場合は、誕生日を基準に満年齢を書くのがどうも正式のようですが、これについても他の中国人が「私は結婚する時に、その年の誕生日が来ていないのに1つ上の年齢書いちゃった!」って言っていました(笑)。どっちでもいいのかなぁ???
教えてくれた2人の中国人の話を総合すると、春節を基準に年齢を足していくという習慣は、どうやら今でも中国に息づいているようです。しかしその時に言う年齢は、満年齢の場合も数え年の可能性もあるようなので、中国人の年齢は1歳くらいの誤差が含まれる可能性がある、ということでしょうか(笑)。
どうしても正確な満年齢を知りたい場合は、生年月日を尋ねるようにしなければなりませんね〜。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本