第306回トイレ
先日、とあるSNSで偶然面白い情報を手に入れました。台湾に面白いレストランがあるというのです。その名も:
便所主題餐廳(台湾だから繁体字で書いてみました…笑)
biàn suŏ zhŭ tí cān tīng(でも発音記号は大陸風のピンインで…笑)
直訳すると、便所テーマレストラン?
え?便所ってあの便所???と不審に思った伊藤は、早速検索してみたのですが、まさしく「あの便所」でした(笑)。
ここはレストランなのですが、内装でトイレらしさを演出し、お皿が便器のような形になっていたりするのですよ。
そのレストランのことを書いた某ブログに、衝撃的な写真が掲載されていました。それは、チョコレートソフトクリームが和式便器風のお皿に収まっているのです!
いや〜、おいしいチョコレートソフトクリームも、そういうふうに出て来ると、ちょっとビックリしますね(笑)。そのブロガーは、こぼれたチョコレートソフトクリームを紙ナプキンで拭いて、拭いた後の紙ナプキンを丸めて便器風お皿に添えて写真を撮っているのです。なかなかやりますよねぇ(笑)。
でも、確かに面白いレストランですよね。今度台湾に行くことがあれば、ちょっと行ってみようかなぁと思ったりしています。
それはさておき、実は僕はもう1つビックリしたことがありました。それは、台湾では「便所」という言葉がトイレの意味で使われているということです。日本語と同じではないですか!
ご存知の通り、我々が習う中国語の標準語「普通话 pŭ tōng huà」では、「トイレ」の言い方としては次のようなものが出てきますよね。
厕所
cè suŏ
洗手间
xĭ shŏu jiān
ニュアンスを含めて訳してみると「厕所」は便所という感じでしょうか。「洗手间」はお手洗いかな?
でも、日本語の「便所」という単語は中国語の中では見たことがなかったので、ちょっとビックリしました。台湾では使うのですねぇ。(大陸の方でも「便所」を使う地域もあるそうです。)
また台湾では日本語の「化粧室」という言い方も取り入れているようですね。中国語で読むとこうなります。
化妝室
huà zhuāng shì
これは大陸のほうでは通じません。以前日本語の全くできない中国人の医療関係者や技術者たちの通訳についていた時、「伊藤さん、この建物は女性が多いの?あちこちに化粧をする場所がありますね〜。」と尋ねてきました。なぜかというと、「化粧室」と書いてあるのを「化粧をする部屋」だと思ったからだったのです。
彼らに「化粧室はトイレのことだ」と教えてあげたら大笑いで、その後彼らはトイレに行く時にいつもこんなふうに言っては笑い合っていました。
我去化妆。
wŏ qù huà zhuāng
私は化粧しに行く。
その時、中国語では「化妆室 huà zhuāng shì」って通じないのだなぁと思ったものでしたが、台湾では通じるのですねぇ。驚きました(笑)。
同じ「トイレ」を表す言葉でも、ニュアンスや使われる状況、地域によって、色々な言い方があって面白いですねぇ。今度台湾に行くことがあれば、「便所」と「化妝室」という言葉を使ってみようと思いました。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本