第371回数字
突然ですが、7月7日といえば何の日でしょうか。
そう、七夕ですよね〜。七夕の故事は中国から伝わったものなので、中国でも七夕はあります。呼び方はそのまま
七夕
qīxī
もしくは、7月7日ということで
七七
qīqī
という人もいるようですね。
ただ注意しなければならないのは、中国ではこういう伝統的な記念日は全て旧暦だということです。
つまり、七夕も旧暦の7月7日にやるのです。だから、中国の七夕は、日本より1ヵ月ほど先で、8月上旬ごろのことが多いようです。
さて、実は7月7日は、結構重要な日でもあります。我々中国関係の人間は、知っておいた方がいいと思いますので、簡単に触れておきます。何の日か、ご存知ですか?
実は、盧溝橋事件の起こった日です。
盧溝橋事件、学校で習ったことがあるのではないでしょうか?でもあまり詳しくは知らないと言う人が多いかもしれませんね。1937年7月7日に起こった日本軍と中国軍との間の発砲事件で、これを機に日中戦争が始まりました。
この事件に関してどう考えるかは皆さんの自由ですが、中国ではこの事件を"七七事变 Qīqī shìbiàn"と言っており、誰でも7月7日に起こったことを知っています。我々も中国と付き合っていく以上は、7月7日に盧溝橋事件が起こったんだな、ということくらいは知っておくようにしたいですね。
中国では事件などの名前を、発生した年月日にちなんで、数字でつけることが多いですね。
満州事変のことを中国で何と言うかご存知ですか?
九一八事变
Jiŭ yī bā shìbiàn
なぜ"九一八"なのでしょうか。実は満州事変のきっかけとなった柳条湖事件が1931年9月18日に起こったからです。こうして発生した日を事件の名前にしておくと、年はともかく記念日は忘れませんね。
数字ではありませんが、こんなものも。
甲午战争
Jiăwŭ zhànzhēng
日本では「日清戦争」と言われている戦争のことを中国では"甲午战争"と言っているようです。これは、日清戦争が起こった1894年が「きのえ(甲)うし(午)」の年だったことからついた名前です。
それから辛亥革命も同じです。
辛亥革命
Xīnhài gémìng
この革命が起こった1911年は「かのと(辛)い(亥)」の年だったのでこういう名前になったのですね。
(こういうのは日本でも時々ありますよね。例えば壬申の乱(笑)。この乱の起こった672年は「みずのえ(壬)さる(申)」の年だったからこう呼ぶとのことです。)
以上のように、中国では数字や数字に準ずるような十干十二支を使って事件の名前などを呼ぶことが多いのですが、逆に日本では数字で呼ぶのに中国では数字を使わないものがあります。それは、台風の名前(笑)。
台風の名前は台風関係国が持ち寄った名前がリストになっていて、そのリストの順番通りに名前がついていくようですが、なぜか日本ではあまりその名前を言うことはなく、「台風28号」のように数字で呼んでいます。
でも中国では数字ではなく名前で呼んでいますね。例えばこんなふうに。
台风尼伯特
táifēng Níbótè
(日本語では「ニパルタック」)
こんなふうに名前で呼ぶのは、馴染みのない外国語だとちょっと覚えにくいし大変ですよね。日本が数字で呼ぶことにしたのは、やはりそう言うことが原因なのでしょうか。
中国はその辺大丈夫なのですかね?あんなに数字が好きなくせに(笑)。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本