第384回第二
先日、とある教師の方が書かれた文章を読んでいたのですが、その中で、学生によく勉強してもらうにはどうすればいいか、というような話を書いておられました。
内容はとても素晴らしく、自分はどうだろうかと色々考えさせられてしまいましたが、1つどうしても気になることが。。。
それは、「学生によく勉強してもらうための第一歩は云々、第二歩は云々・・・」と書いてあったことです。
「第二歩」って言いますかね?僕には少し違和感があります。「こんな日本語ない!」と言えるほどではないのですが、、、皆さんはどう思われますか?
「第一歩」は全然構わないのですが、「第二歩」はちょっとおかしく聞こえます。とはいえ日本語の中で「第二〜」という言い方がないわけではありませんよね。「第二ターミナル」とか「第二楽章」とか、普通に使います。でも「第二歩」はないかな〜と。
これは僕の私見ですが、「第一〜」とか「第二〜」という言い方はちょっとオカタイ場面に似合う表現なのかもしれないと考えました。だから身近にあるものとかには使いにくいのかなと。
確かに「第一歩」はよく言うのですが、少し慣用的な使い方が多いですよね。例えば「伊藤は高校生の時に小説『三国志』を読んだが、それが中国語人生の第一歩だった。」というような感じ。比喩的な用法ですよね。
でも例えば、生まれたばかりのお釈迦様はすぐに歩いたということですが、その最初の一歩をどの方角に踏み出したか、というような話をしているとしましょう(レアな例ですね…笑)。
その場合「第一歩」も使うでしょうが普通は「一歩目」とか「二歩目」とかではないかなと思うのです。「第一歩」はちょっとオカタイ感じがするのは僕だけかなぁ?
昔のテレビ番組で、芸能人が食事をする時にまず何から口をつけるかを予想するコーナーがありましたが(古い…笑)、「第1番目に何を食べるか?!」とはあまり言わずに「最初に何を食べるか?!」「2番目は何?」という言い方を使う方が一般的だと思うのです。
だからですかね〜。「第二歩」は僕にはとても違和感がありました。僕なら多分「第一歩」は使うかもしれませんが「第二歩」は使わずに「そしてその次の段階として」とか「二番目としては云々」という感じで言いますかねぇ。
さて、長々と書きましたが、中国語ではどうでしょうか。
そうですね、中国語ではオカタイ場面でなくても結構“第二dì'èr"という言葉を使います。
中国語では、例えば何かの理由が複数ある場合、“第一,〜〜〜。第二,〜〜〜。"と言うふうに羅列していきますね。こう言う場合日本語では「第一に〜〜〜。第二に〜〜〜。」とも言うかもしれませんが、ちょっとカタイ気がします。僕なら「まず最初に〜〜〜。次に〜〜〜。」というのではないかと思います。
次の例は、日中両国語の違いがもっとはっきりすると思います。。
第二天
dì'èr tiān
これは直訳すると「第2番目の日」という意味ですが、ふつうこれは「翌日」という意味で使います。例えば:
特朗普当选美国总统的第二天,…
Tèlăngpŭ dāngxuăn Měiguó zŏngtŏng de dì'èr tiān, …
トランプ氏がアメリカの大統領に当選した翌日、…
これをもし「…当選した第二の日」とか「…当選した二番目の日」とすると、通じないか、通じてもちょっと考えなければ意味がピンと来ない気がします。やはり「翌日」とか「次の日」と訳さなければなりませんね。
最初に書いた「第二歩」ですが、中国語では普通に使えると思います。発音はもちろん:
第二步
dì'èr bù
日本語では、漢字語を使うと少しオカタイ感じになる傾向がありますよね。中国語の勉強が進むと、日本語で話す時も漢字語を多用したり、漢字語が多用されていても違和感がなくなったりするようになってくるかもしれません。日本語ならどんな言い方がより自然か、中国語だとどんな言い方がより自然かを、常に考えていきたいと思う今日この頃です。なかなか難しいんですけどね〜(笑)。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本