第419回旧暦と新暦
僕たちの国日本では、現在新暦(太陽暦)を使って生活していますね。もう日常のすべてが新暦にのっとって行われていますので、全く混乱もしません。
しかし日本でも昔は旧暦でした。大体アジアの国は旧暦にのっとって暮らしていましたよね。日本も例外ではありませんでした。
でも日本は明治6年(1873年)に急に新暦を採用することとし、旧暦は一切使わなくなったのだそうです。一大変換です。社会は大混乱だったことでしょうねぇ。
でもそれを乗り越えて、今ではすっかり新暦社会。「新暦/旧暦」という言い方自体ちょっとどうですか?まるで太陽暦のほうが新しくて優れているとでもいいたそうなネーミングではありませんか。
別にどちらが正しいとかどっちのほうが便利ということはありませんよね。どちらのほうがその社会のニーズに合っているかということなのだろうと思います。
さて、ご存知中国では“阴历 yīnlì(日本で言う「旧暦」)”と“阳历 yánglì(日本で言う「新暦」)”の両方を使っています。これってすごいことですよね。
いわゆる先進国では「新暦」を使っているので、混乱しないように中国でもそちらに合わせて太陽暦で日常生活を送り、でも伝統行事など中国国内での様々なことは昔から使っている「旧暦」にのっとって行っている。なんてフレキシブル!
ですから、ニュース番組でも冒頭で日付を言う時、アナウンサーは旧暦での日付も言います。例えばこんな感じ。
今天是四月八号,农历三月十六。
Jīntiān shì sì bā hào, nónglì sān yuè shíliù.
今日は4月8日、農暦(旧暦のこと)3月16日です。
そう、新暦と旧暦では一月半ほどずれがありますね。
旧暦では一カ月は月の満ち欠けで設定されますのでどの月も30日。1年は360日。新暦だと1年は365日ですから、どうしてもずれます。
だから、新暦ベースで見ると、旧暦の正月は毎年日付が違います。
ご存知中国のお正月は新暦ではなく旧暦の方を盛大に祝います。いわゆる“春节chūnjié”です。1月末くらいのこともあれば2月に入ることもあります。
前にも書いたことがありますが、中国人は干支も旧暦ベースで決まりますので、新暦で2019年に入っても、中国人にとっては春節まではまだ戌年です。ですから2019年の場合だと2月5日(この日が旧暦1月1日です)から亥年になるのですね。
新暦の2019年1月1日~2月4日に生まれた子供は、日本では亥年ということになるでしょうが、中国だとまだ戌年ということになります!いやぁ、ややこしい(笑)。
中国では、春節以外でも、端午の節句(旧暦5月5日)や七夕(旧暦7月7日)等、伝統的な節句はすべて旧暦です。
でも誕生日はやっぱり新暦なんだろうと思っていました。別に生まれた日は伝統的なイベントではないですものね。
ところが!そうでもないみたいです。人によって旧暦の誕生日をお祝いする人(家)と、新暦の誕生日をお祝いする人(家)があるようです。
中国人でありながら日本で声優として活躍している劉セイラさん、ご存知でしょうか?彼女の漫画エッセイにそのようなことが書かれていました。
(http://www.funwarijump.jp/manga/ryuseira)
なるほどね~。日本では新暦しか使っていませんから自分が旧暦の何月何日に生まれたのかなんて知りませんよね~。でも中国だと、人によるのかもしれませんが、旧暦の誕生日もご存知だということですね。
以前、中国人の年齢は数え年を言う人もいるし満年齢を言う人もいるから、どうしても正確に年齢を知りたい時はしっかり確認しなければならない、というようなことを書いたことがありましたが、誕生日も新暦なのか旧暦なのか確かめた方がよさそうですね(笑)。
劉セイラさんの漫画エッセイ、すご~く面白いし、我々にとってもとても興味深いことが書かれていますので、是非皆さん読んでみてくださいね。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本