第423回1文字の単語
中国語の単語の中で、特に名詞は2文字の単語がとてもとても多いですね。漢字は1文字に多くの情報が盛り込まれており、本来1文字で1つの単語として使われていましたが、現代では誤解を避けるためでしょうか、2文字で1つの単語を形成していることが多いです。
例えば季節の名前。日本語は「春」「夏」「秋」「冬」と、漢字1文字で表すことができますね。もちろん読み方は訓読みで「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」と読まないといけませんが。
中国語は、「春夏秋冬」と言うのであればそれぞれ1文字ずつで構いません。
春夏秋冬
chūn xià qiū dōng
でも、単独で使う時は、それぞれ“天 tiān”をつけないといけませんね。
- 春天 chūntiān
- 夏天 xiàtiān
- 秋天 qiūtiān
- 冬天 dōngtiān
こんなふうに、多くの名詞は2文字で構成されています。
しかし、1文字の名詞ももちろんあります。例えば:
报 bào
新聞(しんぶん)
字 zì
字(じ)
书 shū
本(ほん)
割と身の周りのモノが多いかもしれませんね。
でもふだんほとんど目にすることのないモノも1文字単語であることがあります。
これ、何のことか分かりますか?
钚 bù
実はこれ、「プルトニウム」のことです。そう、放射性物質の1つですね。
なんとなく怖いイメージのある物質ですが、中国語だと“bù”ですって!(苦笑)
“不”とか“布”とか“步”と同じ音ですよ。なんか、力抜けますよね。
こういう物質名、というのでしょうか。1文字のものが多いですね。
金 jīn
金
银 yín
銀
铜 tóng
銅
この辺は日本と同じですね。
铂 bó
プラチナ
汞 gŏng
水銀
プラチナは日本では「白金」とも言いますが、中国語も“白金 báijīn”とも言うようです。水銀も同じで、中国語でも“水银 shuĭyín”とも言います。
铯 sè
セシウム
铀 yóu
ウラン
碘 diăn
ヨウ素
福島第一原発事故が発生した頃はよくニュースで見かけた言葉たちです。全て1文字なんだなぁと、変なところに感心した覚えがあります。
日常的に使わないから1文字なのでしょうか?よく分かりませんが、不思議ですよね。もちろん、文脈があれば聞き間違えることはないかもしれませんが、僕たち外国人には難しいな~と思ったりします。ま、覚えればいいんですけど(苦笑)。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本