翻訳コラム

COLUMN

第457回日本人の中国語

2019.12.25
通訳・翻訳家 伊藤祥雄

最近は日本に来る中国人も本当に多いですね。日本語を上手に操る中国人もどんどん増えている気がします。

逆に中国語のできる日本人も増えてきましたね。俳優さんや歌手の人々の中にも中国語ができたり、勉強中だったり、本当に随分増えました。

中国にかかわりのある生活をしている僕たちとしてはとてもうれしいしありがたいことです。

で、まぁ、やっぱり気になるのは発音です。

日本の人の中国語の発音を聞いていると、やはり色々と気になる点があります。

以前よりは僕も随分丸くなったので(笑)、全く中国語のできない人がテキトーに発音を真似ているのをテレビなんかで聞いても腹立たしく思わなくなりましたが、まぁ色々感じることはありますよね。

日本人の陥りやすい中国語の発音、いくつかあります。

例えば声調。半三声がキチンとできない人、多いですね。それから第2声もキチンとずり上げられない人、とても多いです。

それから有気音。息の音が足りない人、とても多いです。無気音も単に濁音にしてしまっている人がとても多いと思いますし、中国語の発音は色々大変ですね(笑)。

でも、声調もほぼ完璧、有気音無気音もほぼOKの人でも、聞いていてどうも中国語らしくないような人、いますよねぇ。

僕は、何が違うのかな~ってよく考えたりしています(苦笑)。で、いくつか考え付いたことの内の1つを今日は書いてみようと思います。

二重母音「-ai」、皆さんどう発音していますか?

「e」がからんでいる母音のほうが圧倒的に難しいですから、見落とされがちかもしれませんが、「-ai」をうまく発音できていない人、意外と多い気がします。

これ、「ア」と「イ」が同じ長さで同じ強さになるように発音していませんか?カタカナの「アイ」という字が思い浮かびそうな発音ではダメですよ。

これ「a」があくまでメインで、「i」はその後に添える感じ。ですから、「i」を言う時に口の広さを「a」の時とあまり変えない方がいいと思います。

「a」は口が大きく開いていますよね?「i」は単独で発音すると口が閉じられて口の中がとても狭くなります。でも「ai」の時の「i」は「a」の時とほぼ同じ唇の開け具合のまま、舌を前に出すなどして「i」に近い音にして発音し終わります。

「ei」も同様です。「エイ」というカタカナが目に見えるような発音ではダメです。「e」の時の唇の開き具体をよく確かめておいて、そこからあまり動かないように発音するといいと思います。

ある程度発音が上手くなってきたけどどうもまだ外国人の話す中国語の域を出ないなぁともし思ったら、「-ai」や「-ei」を点検してみてください。「i」を言う時に口が閉じようとしていないか、チェックしてみてください。

まぁこれをキチンとしていないと通じない、というようなレベルの話ではありません。カタカナ発音で「アイ」「エイ」と言ってしまっても通じます。

でももし中国語ネイティブみたいな発音になりたいとか思う人は、是非研究してみてくださいね。

伊藤祥雄

1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了

通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当

著書

  • 文法から学べる中国語
  • 中国語!聞き取り・書き取りドリル
  • CD付き 文法から学べる中国語ドリル
  • 中国語検定対策4級問題集
  • 中国語検定対策3級問題集
  • ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本