第463回“好”の意味
先日某社会人の人に中国語をお教えしていて「そういえば“好 hăo”という字は色々な使い方や意味があるなぁ」なんて思いました。
そこで、今日は“好”について考えてみましょうか。
1.「良い」
“好”の最も中心的な意味は「良い」という意味ですね。
天气很好。
Tiānqì hěn hăo.
天気がよい。
身体很好。
Shēntĭ hěn hăo.
体がよい(元気だ)。
これは多分皆さん問題ないでしょうかね。
2.「~しやすい」
「“好”+動詞」で「~しやすい」という意味になりますね。
好用
hăo yòng
使いやすい
好吃
hăo chī
食べやすい(食べ物がおいしい)
好看
hăo kàn
見やすい(美しい)、読みやすい
3.結果補語の“好”
“好”は結果補語としてもよく使われますね。でも難しい漢字でないからでしょうか、意味が分からないと言う人が結構います。苦手な人はここでよく押さえておきましょう。
結果補語は動詞の後に置かれます。つまり「動詞+“好”」です。2番の用法と語順が逆になっただけなので混同しやすいかもしれません。気をつけてくださいね。
で、意味するところは?
結果補語はある動作をした結果どうなるか(どうなったか)を補うので、「動詞+“好”」だと「ある動作をした結果、よい状態になる」という意味です。例えば:
吃好了。
Chīhăo le.
食べた結果良い状態になった(つまり、食べて満足した、満腹した)
没想好。
Méi xiănghăo.
考えた結果良い状態になっていない(つまり、まだ考えがまとまっていない)
请系好安全带。
Qĭng jìhăo ānquándài.
シートベルトを締めた結果よい状態になるようにしてください
(つまり、シートベルトをしっかり締めてください。)
3つ目の例文のように、後ろに目的語がある場合などは、“好”が後ろの目的語についた修飾語のように誤解してしまい、例えば3つ目の例文を訳す場合に「よいシートベルトを締めてください」などと訳してしまう人もいるようです。よく見極めてくださいね。
結果補語の“好”は、日本語ネイティブから見ると存在価値があまり見出せませんよね。ある場合と無い場合との違いを日本語に訳しわけるのは難しい場合も多いのですが、ニュアンスがどう変わるのかをよく感じるようにしてください。
伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
著書
- 文法から学べる中国語
- 中国語!聞き取り・書き取りドリル
- CD付き 文法から学べる中国語ドリル
- 中国語検定対策4級問題集
- 中国語検定対策3級問題集
- ぜったい通じるカンタンフレーズで中国語がスラスラ話せる本