第3回特許出願に必要な書類を説明します
今日は特許出願に必要な書類を説明します。①願書、②明細書、③特許請求の範囲、④図面、⑤要約書です。
この中で最も重要な書類は「特許請求の範囲」です。 特許を受けたい発明を記載する部分だからです。明細書で発明を詳細に説明します。そのなかで特許を受けたい発明を抽出して特許請求の範囲に記載します。
したがって特許請求の範囲は明細書より広いです。クレーム記載の発明は明細書で開示されている必要があります。つまりクレーム記載の発明は、明細書で根拠付けされている必要があり、これをサポート要件といいます。サポート要件を充たしていないとして、アメリカ出願が拒絶されることがあります。日本では、特許法36条6項1号に「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること」と規定されています。
ところでクレームとは特許初心者は「文句を言う」という意味と勘違いする人がいます。「クレームを付ける」という日本語があるからです。"claim"は英語では「要求する」というのが主な意味であり、「文句をつける」という意味はあまり見当たりません。「文句をつける」を「クレームを付ける」というのは日本特有の言い回しのようです。
したがって当然、特許でもclaimといったら、権利を要求する書類です。文句を言う書類ではありません。
特許請求の範囲は、英語では"what is claimed", “Claims", “I claim"など様々な表現があります。
Today, I will explain documents necessary for a patent application which consists of i) a request form, ii) specification, iii) scope of claims, iv) drawings and v) abstract.
Out of these, the “scope of claims" is the most significant, in which an invention to obtain a patent is described. Inventions are explained in the specification in detail, from which an invention to obtain a patent is extracted and described in the scope of claims.
Accordingly, the scope of claims is wider than the specification. The invention described in the claims should be disclosed in the specification, namely supported by the specification. This is referred to as “support requirements". In the U.S., an application may be rejected on grounds of lack of support requirements. In Japan, this is provided in Article 36(6)(i) of Patent Act, which recites that “an invention to obtain patent shall be described in the detailed description of the invention".
By the way, some patent beginners misunderstand that the word “claim" means “complaint". In Japanese, “making a complaint" is spoken as “claiming". However, “claim" mainly means “request, demand" but rarely means “complaint". “Claiming" as meaning “making a complaint" appears to the unique Japanese expression.
Accordingly, of course as patent terms, “claims" refer to “document requesting a patent" not “document making a complaint".
The scope of claims is expressed “what is claimed", “Claims", “I claim" etc. in English.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
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