第7回特許庁の2015年ステータスレポート
特許庁は「特許庁ステータスレポート2015」というものを発表しました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/status2015.htm
これは英語との対訳になっていて、これも翻訳の一つの参考になります。このレポートによると、2014年の日本特許庁に対する出願件数は325,989件で前年より0.7%減でした。出願件数は2005年よりほぼ現象の一途でしたが、昨年も同様でした。
この特許出願件数は、国内の出願人とPCT出願で日本に国内移行された出願を含んでいるので、日本で特許を取りたい出願人が国内外を問わず減っているということです。
日本を受理官庁とするPCT出願は増加傾向にあるとは言っていたものの、2014年はこれも4.1%減でした。しかしまだ日本の出願人が海外をとることには魅力を感じているようです。
先日の特許無償開放で注目されたパナソニックは、2014年の特許登録件数で3位にランクインされています。
特許はライセンス許諾のためだけでなく、今後は無償解放するために特許を取る企業も出てくるでしょう。では何のために特許を取るのか?
特許という財産的価値自体に着目し、本当に価値があるから無償開放するのでしょう。その点では現状は、たとえ特許出願件数が減少していても、特許の財産的価値の保護という特許本来の目的を達成するという良い方向に向かっているでしょう。
しかし出願件数の減少傾向は、特許に対する懐疑を表しています。今後は特許を取らずに技術をいきなり開放する企業が増えるのでしょうか?
The JPO issued the “JPO Status Report 2015", with English translations, which will be useful also for translators.
http://www.jpo.go.jp/shiryou/toukei/status2015.htm
According to this report, the number of applications filed with JPO in 2014 was 325,989, a slight decrease by 0.7% from the previous year. The number of applications has been roughly decreasing since 2005, and the previous year was no exception to this decrease.
The number of applications include applications filed by domestic applicants and PCT applications that had entered the national phase in Japan, which shows that applicants who want to obtain patents in Japan have been decreasing both domestically and overseas.
Although PCT applications filed with JPO as a receiving office has been increasing, it decreased by 4.1% in 2014 from the previous year. Japanese applicants, however, appear to be still attracted to obtainment of foreign patents.
Panasonic received attention due to its royalty-free disclosure of patents and is ranked third in the number of patent registrations in 2014.
There will be more companies which will obtain patents for disclosing them for free and not for granting a license on their patents. Then, what is the purpose of obtaining patents?
Patent owners will focus on the genuine proprietary nature of patents and disclose them for free. In this regard, the present circumstances are proceeding toward a favorable direction to attain the inherent purpose of protecting the proprietary value of patents even if the number of applications is decreasing.
However, the trend of decrease in the number of applications results from the skepticism toward patents.
I wonder if the number of companies will increase which will disclose technology without filing for a patent.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
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