第15回プロダクト・バイ・プロセスクレームで判例
6/5に特許界では大きなニュースがありました。
プロダクト・バイ・プロセス・クレームについての判例です。
プロダクト・バイ・プロセス・クレームは、製造方法を記載したクレームです。物の発明であっても、構造や成分だけではなく製法を記載してあるクレームです。
何が問題かというと、製法が発明の特徴となってしまうか、ということです。つまり物として同一でも、クレーム記載の製法と異なる製法で製造された場合、これはクレーム記載の発明の技術的範囲に入るか、ということです。
この点は、審査の段階でも侵害訴訟でも問題になります。物として同一で製法の異なる先行技術があるとき、これにより新規性、進歩性なしとして拒絶されるのか。
物として同一で製法の異なる第三者の製品は侵害を構成するか。
まさにこれが問題になったのが、今回の判例です。テバ ジョウジセルジャールという会社の日本の特許3737801号を協和発酵が異なる手法で製造した製品が侵害か否かが争われました。
「プラバスタチンラクトンの混入量が0.5重量%未満であり,エピプラバの混入量が0.2重量%未満であるプラバスタチンナトリウム」という記載がこの特許のクレーム1にあります。
被上告人製品は、プラバスタチンラクトンの混入量が0.5重量%未満であり,エピプラバの混入量が0.2重量%未満であるプラバスタチンナトリウムも含有していますが、製造方法が一部異なっていました。
この特許が無効でない限り、被告製品はこの技術的範囲に属するとして、知財高裁に差し戻しました。
知財高裁の判断は、この特許が先行技術から進歩性なしとの判断でした。またプロダクト・バイ・プロセス・クレームを真正、不真正に分けています。この点については次回詳しく説明します。
On June 5, there was big news about a product-by-process claim in the patent world.
A product-by-process claim recites a production process. A product-by-process claim of even a product invention recites a production process in addition to (or without) structure or ingredients.
The issue of such claim is whether a production method specifies characteristics of an invention or not, namely whether the same product produced by a method different from a method recited in claims falls under the technical scope of the invention recited in the claims or not.
This will be a point at issue in the examination stage and in the infringement litigation.
Will an invention be rejected because of lack of novelty and lack of an inventive step over the prior art of the same product? Will the same product of a third party produced by a different method constitute infringement?
This was absolutely contested in this case. It was contested whether Kyowa Hakko Kirin's product produced by a different method infringes Teva's Japanese patent No. 3737801 or not. Claim 1 of this patent recites “the pravastatin sodium containing pravastatin lactone of less than 0.5% by weight and epiprava of less than 0.2% by weight".
The defendant's product also contains pravastatin sodium containing pravastatin lactone of less than 0.5% by weight and epiprava of less than 0.2% by weight but was produced by a partly different method.
The Supreme Court remanded this case to the Intellectual Property High Court, judging that Defendant's product falls under the technical scope of this patent. The Intellectual Property High Court judged that this patent has no inventive step over the prior arts and the product-by-process claim divided into genuine and no genuine ones, which will be explained in detail in the next blog.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
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