第21回特許法条約加盟で特許法改正
特許法条約というものがあります。これにjoinするために、特許法改正が成立しました。ユーザフレンドリーな規定が数多く特許法に設けられ、たとえば明細書が出願時に添付されていなくても、後から補完することができ、補完の日が出願日とみなされる、という規定もあります。
これまでの特許出願の方式の厳しさからいうと画期的です。
PCTによる国際出願とどう違うのか、と思うでしょう。PCTは150ヶ国近く加盟していますが、PLTは2015年2月1日現在で締約国が36ヶ国です。PCTより国際出願日認定要件が緩いです。出願の明示または黙示の意思表示、出願人又は出願人の連絡先を特定できる表示、明細書と認められる部分があればよいです。明細書はいかなる言語でも提出でき、代理人による出願も義務付けられません。
この条約履行のために特許法改正が7月に成立しました。
PCTは方式統一条約であり、国際出願する際に日本人が日本語の明細書を日本特許庁に提出できる、という意味で出願人の労力が軽減されますが、日本人が日本の特許庁に通常の日本出願をする際の規定を改正させるものではありませんでした。
しかしPLTを履行することは、日本の特許法まで改正させるものでした。外国人が日本に出願して日本の特許法を利用する機会が増えるからでしょう。外国人がPCTルートで日本に出願する手続は特則として特許法184条の3以下に定められています。しかし日本人が日本特許庁に出願する場合の手続までは改正されませんでした。
ではなぜPLT加盟のために今回、特許法を改正して日本人が日本特許庁に出願する手続まで緩和されたのでしょうか。
これはユーザフレンドリーな方向に進む時期に来ていたということがあるでしょう。
In order to join the Patent Law Treaty, the amended Japanese Patent Act has been promulgated in July, which include many user-friendly provisions. Of these, there is a provision that the specification that was not attached to an application can be supplemented later, and the date of supplement shall be regarded as an application date, which is a noteworthy provision in view of the present strict formalities of patent applications.
What is the difference between the PCT and PLT? Nearly 150 countries are member states of PCT, while contracting countries of the PLT totaled 36 as of February 1, 2015. Requirements for finding an application date is mitigated compared to those provided in PCT: i) an explicit or implicit intention to file an application; ii) an indication to specify an applicant or an applicant's contact address; and iii) a part that can appear to be the specification. The specification can be filed in any language, and filing an application through a representative is not mandatory.
PCT is a treaty for unifying formalities, through which Japanese applicants can file the Japanese specification to JPO in order to reduce applicant's labor, but its purpose is not to revise the provision for Japanese applicants to file normal Japanese applications to JPO.
However, in order to fulfill the PLT, the Japanese Patent Act was amended this time because Japanese applications filed by foreign applicants using the Japanese Patent Act will increase. Special provisions for procedures of PCT applications entered into the national phase in Japan are provided in Article 184-3 et seq. but procedures for Japanese applicants to file Japanese applications were not amended.
Why was the Patent Act amended this time to mitigate formalities of Japanese applications in order to join the PLT?
This means that the patent world has been proceeding toward user-friendly procedures.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
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