第44回IT特許翻訳講座 第1回
今日からあるIT特許についての翻訳講座を始めます。その過程で日本の特許制度や翻訳を学んでいきます。
I will start a series of translation courses for IT patent translation, and during this, we will learn the Japanese patent system and translation.
特開2003-114852((株)アクティス)
(Japanese Patent Application Laid-Open No. 2003-114852, filed by ACTIS Corporation)
【要約】
【課題】送信した電子メールに対して後から閲覧制限を付加することが可能なシステムの実現。
【解決手段】ネットワーク接続される送信者のパソコン16、受信者のパソコン22、状態サーバ28を備えた電子メールシステム10であって、パソコン16は、電子メールの内容を切り取り、制御プログラム内に格納する手段と、制御プログラムを電子メールに添付する手段と、電子メールを受信者のメールアドレス宛に送信する手段と、送信後に電子メールの初期情報を状態サーバ28に通知する手段と、初期情報通知後に電子メールの閲覧制限情報を状態サーバに28通知する手段を備え、状態サーバ28は、電子メールの閲覧制限情報の送信要求が出力された場合に、閲覧制限情報をパソコン22に送信する手段を備え、受信者のパソコン22は、状態サーバ28から送信された閲覧制限情報を基に電子メールの内容表示の可否を決定する。
要約とは何でしょう?
要約は発明の概要を説明する項目です。まず「課題」を簡潔に述べます。何を目的として、実現する発明であるかを述べます。要約は「〜の実現」「〜を実現する」「〜の提供」「〜を提供する」という形で完結します。
英語“abstract"
What is an abstract?
An abstract explains the summary of an invention, and firstly states "the problem" briefly, and then states the purpose of realizing an invention. An abstract is concluded in the form of "realization of ...", "realizing ...", "provision of ...", "providing ...." etc.
課題とは何でしょう?
従来技術に欠点があり、解決すべき問題点が課題になります。
What is a problem?
If the prior art has disadvantages, the problem to be solved is a problem.
解決手段とは何でしょう?
課題、つまり従来技術の欠点ゆえに解決すべき課題を解決するのが、解決手段であり、これが発明の中心です。
解決手段は「要約」と「特許請求の範囲」に記載されます。
What are the means for solving the problem?
This is the means for the problem, namely the problem to be solved due to disadvantages of the prior art, which is the heart of an invention.
The means for solving the problem are described in "an abstract" and "the scope of claims".
では今日は「課題」だけを訳します。
I will translate only the "Problem" today.
【課題】送信した電子メールに対して後から閲覧制限を付加することが可能なシステムの実現。
[Problem]
Realization of a system for enabling to later add a limitation to browsing to transmitted electronic mail.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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