第53回立派な女子高生
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
シャネルの偽ブランド品のキーホルダーを販売のために所持していた疑いで女性が逮捕され、それを見つけたのは職場体験をしていた女子高生である、という以下のニュースがありました。
The following news reported that a woman was arrested on suspicion that she had been possessing counterfeit CHANEL key holders, which were found by a female senior high school student who was on a workplace experience program.
テレ朝news「偽シャネル見抜いた女子高校生職場体験中にお手柄」
http://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000071470.html
このニュースから2つの学ぶことがあります。
上記ニュースによると、この女性は、偽ブランドを偽ブランドとして販売するのは違法ではない、と思っていたとのことです。
しかし、商標権者でない者が無断で、他人の登録商標を商品に付すること、この付したものを販売、販売のために所持するのは商標権侵害です。
たとえ偽ブランドと明言していても、他人の登録商標を無断で商品に付したり、これを販売、販売のために所持すること自体が侵害となります。「偽ブランドです」と言っていても、とにかく他人の商標を無断で商品に付せば商標権侵害です。
This news tells us two significant things.
According to this news, the arrested woman misunderstood that selling counterfeit products as counterfeit products is legal.
However, anyone who affixes another person's registered trademark to goods, sells goods to which another person's registered trademark is affixed or possesses such goods for the purpose of selling them without the trademark holder's permission per se infringes the other person's trademark right. Even if it is clearly stated that "this is a counterfeit product" when it is sold, affixing another person's registered trademark to goods infringes the trademark right.
もうひとつ学ぶことは、女子高生がこの行為を商標権侵害と理解したことです。女子高生の方が知財を良く知っているということです。
It is amazing that this female senior high school student realized that this is an infringement of the trademark right and is more familiar with Intellectual Property than others in the workplace.
このブログでも以前から12歳の少女が発明したなどのニュースを伝えてきたように、学生が知財で手柄を立てています。
私たち大人が子どもの頃には学校で知財教育がされておらず、そのためかは定かでありませんが、大人が特許権や著作権を侵害する事件が続いています。
知財教育が浸透し、このニュースのような女子高生が増えてくれることを願っています。
As this blog previously announced a twelve-year-old girl's invention, this helps to show students have made spectacular achievements in Intellectual Property.
We, grown-ups, were not taught about Intellectual Property at school. I am not sure that this results in recent consecutive infringements of patents and trademark rights committed by grown-ups.
We hope Intellectual Property education will spread nationwide and more students like this female senior high school student appear.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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