第65回PCT規則改正2013年
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
PCT(特許協力条約規則)が立て続けに改正になり、2回にわたりこれをお伝えします。今日は2014年7月以降の国際出願に適用される改正です。
1.トップアップサーチの導入
トップアップサーチ(Top-Up Search)とは、国際調査の際には発見されていなかった文献や、発行されていなかった文献(例、雑誌に掲載される直前であった文献)を国際予備審査において調査する制度です。国際予備審査機関の質向上のために行われます。2014年7月1日以降の国際出願に適用されます。
国際調査機関の書面による見解にて実体的判断も記載されるようになった現在、これは国際予備審査報告とほぼ同一内容です。しかし国際予備審査の独自の役割を果たさせるために、国際調査時点では発見できなかった文献などをカバーするトップアップサーチが行われるようになりました。
2.国際調査機関の書面による見解が国際公開の時期に公表される
改正以前は国際調査機関の書面による見解は、優先日から30ヶ月する経過までは秘密保持の対象となっており、優先日から18ヶ月後にされる国際公開の時点では公になっていませんでした。そして優先日から30ヶ月経過後の国内移行の際に指定官庁に送付されていたのですが、国際調査機関の書面による見解の優先日から30ヶ月以内の秘密保持の条文が削除され、国際公開の頃に公表されることとなりました。
The PCT (Patent Cooperation Treaty) Rule was amended step by step, and I will inform you about this in this and my next blog. Today, I will explain the amendments that shall apply to International Applications filed on or after July 2014.
1.Introduction of Top-up Search
A Top-up Search covers documents that had not been found or documents that had not been issued (for example, documents that had not yet been placed in a magazine) when the International Search was conducted. The Top-up Search is conducted for the purpose of improving the quality of the International Preliminary Search.
At present, a substantive judgment is stated in a written opinion of the International Searching Authority, which is almost the same as the International Preliminary Report. In order to fulfill the unique role of the International Preliminary Examination, the Top-Up Search covering documents that had not been found at the time of the International Search started.
2.Written Opinion of International Searching Authority is published at the time of International Publication
Before the amendment, the written opinion of the International Searching Authority had been kept confidential before 30 months had expired from the priority date, and had not been published at the time of International Publication after 18 months from the priority date, and had been sent to the designated office at the time of entry into a national phase 30 months after the priority date. The provision of a confidential nature of the written opinion of the International Searching Authority was deleted and the written opinion of the International Searching Authority started to be published at the International Publication.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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