第83回電子出版も著作権法に入る 2014年改正
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
電子書籍の普及に伴い、出版権の規定も変わらざるを得なくなりました。従来の紙書籍に加え、現在は電子書籍、オンデマンド方式の紙書籍、紙書籍の内容をCD-ROMに記録した出版など様々な出版形態があり、また電子書籍の普及に伴う海賊版の横行にも対処する必要もあり、出版権の規定が2014年著作権法改正により大きく変わりました。
「電子計算機を用いてその映像面に文書又は図画として表示されるようにする方式により記録媒体に記録し、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物により頒布すること」(著79条1項)も出版権が設定できる行為となりました。
つまり著作物の内容をパソコンによりCD-ROMなど記録媒体に記録し、これを販売する行為などが該当します。
「当該方式により記録媒体に記録された当該著作物の複製物を用いて公衆送信を行うこと」(著79条1項))も出版行為です。
前記のようにCD-ROMに記録された著作物をインターネット上で配信することにも出版権が設定できます。
また出版権の内容は、原作のまま記録媒体に記録された電磁的記録を複製すること、原作のまま記録媒体に記録された複製を公衆送信することです。
これは電子書籍について出版権の設定や出版権者(つまり出版社)が抑えられる行為を規定したものであり、電子的なコンテンツのコピーは複製権侵害として著作権者が改正前も抑えることができましたが、電子出版する行為に著者が出版権を設定したり、出版社も電子書籍のコピーを抑えられることとなったという改正です。
E-book publications have been spreading, and this has resulted in a need to amend the copyright laws of 2014. Today, books are published in various forms such as traditional paper books, e-books, paper books on demand, and CD-ROMs containing paper books. The appearance of pirated editions in the past had to also be dealt with, and so the copyright laws were amended.
Under the new copyright laws publication rights are defined as:
“recording documents or drawings in recorded media by means of a method of displaying them as video by using a computer or distributing copies of the recorded copyrighted work." (Article 79((1) of the copyright law).
In other words, recording and selling copyrighted information on a CD would only be reserved for publishers.
“Publicly transmitting a copy of a copyrighted work recorded on recorded media by means of the aforementioned method" Is considered only allowable for publishers (Article 79(1)). Such an example would include, distributing copyrighted work recorded in CD-ROMs over the Internet.
Publication rights also extend to any act of exactly copying the electromagnetic information of original works recorded on recorded media, as well as publicly transmitting such things.
These things have been the established publication right acts designed to restrict publishers and publication right holders (namely publishers) concerning e-books.
Copying electronic contents had been restricted by copyright holders before under the old laws where the copying of digital content was seen as a copyright infringement, but under the newly amended copyright laws authors are not restricted in regards to copying e-book content.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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