第102回タイムスタンプ保管サービスが3月27日からINPITで開始
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
タイムスタンプ保管サービスが3月27日からINPIT(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)で開始しています。
これは電子文書が特定の時刻に存在していたことを証明する手段です。先使用権を主張する際に、人の特許出願より前のある年月日+時刻にウエブサイトに掲載していたことを証明するときなどに利用できます。
タイムスタンプサービスのしくみは、ユーザが電子文書を暗号化してハッシュ値に取得します。これを時刻認証業務認定事業者(TSA)に送信すると、TSAはハッシュ値に時刻情報を付したタイムスタンプトークンを生成します。ユーザはこれをINPITの保管サービスに保管してもらいます。
ハッシュ値をもとに電子文書を読みだすことはできません。特定の文書が特定に時刻に存在していたことを証明でき、この文書が改ざんされることもありません。
紙の文書は紛失の危険もあり、時間が経過すると過去の存在の証明が難しくなります。保管場所の問題もあります。発明ノートを毎日、タイムスタンプとして記録することや、ウエブサイト画面を保管するという活用方法もあります。
詳しくは、「タイムスタンプ保管サービスについて」(INPIT(独立行政法人 工業所有権情報・研修館))
http://www.inpit.go.jp/katsuyo/tradesecret/ts.html
をご覧ください。
Hello readers.
As some of you may know, from the 27th of March, the National Center for Industrial Property Information and Training (INPIT) started a timestamp storage service.
To put it simply, this is a method in which an electronic document can be proven to have existed at a certain point in time. Using this system, it could be proven that an invention had been published on a website from a specific date and time, enabling one to prove that they have prior user rights.
Under the timestamp storage service system, a user can encrypt an electronic document to obtain a hash value and send it to the Time Stamp Authority. Time and date information is then added to generate a time-stamp token, allowing the user to save the timestamp to the INPIT storage service.
It should be noted that from the point the hash value is made, the document can no longer be retrieved. Using this service, it can be proven that a specific document had been present at a certain time, and that there had been no tampering.
As for paper documents, there is always the possibility that they are lost or damaged, and after long periods of time, it becomes difficult to prove when they were created. Problems may also arise due to a lack of storage space.
This service can also be used to record invention notes on a daily basis, as well as a method of storing a website's screen or layout.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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