第171回三菱鉛筆(株)の鉛筆ユニとハイユニのあの有名な色彩の商標が登録されました
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
三菱鉛筆(株)の鉛筆「ユニ」と「ハイユニ」のあの有名な色彩の商標が登録されました。
商標登録6,078,470号(三菱鉛筆(株))
商標登録6,078,471号(三菱鉛筆(株))
J-Platpat(特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage#
よりダウンロード
そして三菱鉛筆(株)のプレスリリース(2018年10月1日)
「発売60周年の高級鉛筆『ユニ』のユニ色と黒、および最高級鉛筆『ハイユニ』のユニ色、黒、金の組み合わせが国内5、6番目の「色彩のみからなる商標」として登録されました」
https://www.mpuni.co.jp/news/pressrelease/detail/20180929165411.html
によると、蝦茶とワインレッド色を混合した色、これと黒色を組み合わせたのが「ユニ」鉛筆、そして蝦茶とワインレッド色を混合した色、これと黒色と金色を組み合わせたのが「ハイユニ」鉛筆とのことです。
この色を見れば誰でもが三菱鉛筆を思い出します。これは色彩がすでに特定の会社の識別標識として機能していることを意味します。
これら2つの商標公報を見ると、「商標法3条2項」を適用して登録されたことが記載されています。これは、使用により識別性が発生したことが認められて、この2つの色彩商標は登録されたことを意味します。つまり、色彩だけでは商標としての識別性(自社の商品と他社の商品を区別できる性質)がない場合があるが、これらの商標は長年の使用により識別性が発生している(つまりこの色を見れば、消費者や取引者は三菱鉛筆であることがわかる)ため、登録が認められたということです。
蝦茶とワインレッドの混合は、容易には作り出せない色であり、この色彩が十分に識別性があると思っていましたが、これらの鉛筆についての色彩の周知性で登録が認められました。
鉛筆の持ち手の1~3色で「三菱鉛筆のあの鉛筆」を連想させられるとは、すごいことです。今回の商標登録はこの事実を証明してくれました。
The famous colors of the “uni” and “Hi-uni” pencils made by Mitsubishi Pencil Co., Ltd. have been registered as trademarks.
Trademark registration No. 6,078,470 (Mitsubishi Pencil Co., Ltd.)
Trademark registration No. 6,078,471 (Mitsubishi Pencil Co., Ltd.)
Downloaded from:
J-Platpat(JPO and National Center for Industrial Property Information and Training)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage#
The following press release was issued by Mitsubishi Pencil Co., Ltd. on October 1, 2018 (Japanese only): “After 60 years of sales, the color combinations of the ‘uni’ high-quality pencil and ‘Hi-uni’ ultra-high-quality pencil have been respectively registered as Japan’s 5th and 6th ‘color-only’ trademarks”
https://www.mpuni.co.jp/news/pressrelease/detail/20180929165411.html
According to the press release, the colors of the “uni” pencil are black and a mixed color of ebicha (shrimp brown or maroon) and wine red. The colors of the “Hi-uni” pencil are black, gold, and the same mixed color of ebicha and wine red.
These colors remind us of Mitsubishi pencils, which means that these colors are already functioning as a certain distinctive mark of the company.
The official gazettes of these two trademarks say that they were registered as a result applying Article 3 (2) of the Trademark Act.
This means that these colors were acknowledged to have acquired distinctiveness due to their use. Namely, though colors themselves may not always be distinctive (i.e. have the ability to distinguish one company’s product from other companies’ products), these colors had acquired distinctiveness due to their long-time use (they remind consumers and dealers of Mitsubishi pencils) and were thus allowed to be registered as trademarks.
I think that the mixture of ebicha and wine red cannot be created easily and has enough distinctiveness on its own, but the trademark registrations for these colors were allowed mainly because they are famous thanks to the pencils.
It is amazing that just a few pencil grip colors can remind us of “those famous Mitsubishi pencils”. Although certainly, these trademark registrations prove just that.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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