第172回マリオカート事件
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
マリオカート」ゲームで有名な任天堂(株)(原告会社)が、公道カートをレンタルする被告会社((株)Mariモビリティ開発)を提訴していました(http://www.courts.go.jp/saikosai/)。
東京地裁判決(平成29年(ワ)6293号)がやっと最高裁ウエブサイトで閲覧できるようになりました。
この判決では、
- マリカー、MariCarなど被告会社の標章の使用禁止
- 投稿動画の削除
- ドメイン名の使用禁止
などいくつかの判断がされてます。
今日は、被告会社の標章「マリカー」「MariCar」「MARICAR」の使用が禁止されたことについて述べます。
裁判所は、「マリカー」は原告会社の表示とし日本全国のゲームに関心を有する者の間で広く知られていた、と認定しました。したがって被告標章「マリカー」はこの原告会社の著名な表示「マリカー」と同一ということになります。
また裁判所は、被告標識「MariCar」「MARICAR」「maricar」の「Car」「CAR」「Car」の部分に着目し、「全体として「マリ」と「車」を結合したものとの観念を生じさせる」こと、
これに対し、ゲーム「マリオカート」は、マリオなどのキャラクターがカートに乗って走ることを内容とするものであり、
被告標章
「マリ」⇒「マリオ」
「車」⇒「カート」
を連想させるため、原告会社の著名表示「マリカー」と類似すると判断しました。
判決では、Twitter上で被告会社が任天堂と関係があると誤解した旨の投稿がされていることも根拠として挙げられています。
Twitterやブログの投稿も裁判所は十分な根拠として挙げることが最近の傾向として多いです。
Nintendo Co., Ltd., (the plaintiff company) which is famous for the game Mario Kart, filed a lawsuit against Mari Mobility Development Inc. (the defendant company) for renting out go-karts to be driven on public roads.
The Tokyo District Court decision (Heisei 29 (wa) No. 6293) has finally been released on the Supreme Court of Japan’s website (http://www.courts.go.jp/saikosai/).
This decision includes:
- Prohibition of use of the Defendant company’s marks, “Maricar” in katakana, MariCar etc.;
- Deletion of posted moving images;
- Prohibition of use of domain names
etc., the contents of which span more than 100 pages and so will be explained in my subsequent blogs.
Today I will explain prohibition of use of the Defendant company’s marks (“Marikar” in katakana, MariCar, MARICAR, maricar).
The court judged that the mark “Marikar” in katakana has been well known as the plaintiff company’s indication among persons who are interested in games nationwide.
Accordingly, the defendant company’s mark “Marikar” in katakana is identical to Nintendo’s famous indication “Marikar” in katakana.
The court also judged that the defendant company’s other marks (“MariCar”, “MARICAR”, and “Maricar”) are similar to the plaintiff company’s famous indication “Marikar” in katakana because they “generate the concept of a combination of “mari” and “car” as a whole”. Taking note of the parts “Car”, “CAR”, and “Car” in the Defendant’s marks and the fact that the “Mario Kart” game features characters like Mario driving go-karts, the defendant indicated that:
“Mari” reminds one of “Mario” and
“car” reminds one of “kart”.
The court listed as grounds the fact that many statements posted on Twitter suggested the defendant company was misunderstood as being affiliated with the plaintiff company.
As with this case, it is a recent trend that contributions on Twitter, blogs, and other forms of social media can be often listed as evidencing facts.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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