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翻訳コラム

COLUMN

第176回マリオカート事件 その4

2018.12.05
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子

「マリオカート」ゲームで有名な任天堂(株)(原告)が、公道カートをレンタルする被告 ((株)MARIモビリティ開発)を提訴した事件(平成29年(ワ)6293号)の続きです。
任天堂(原告)は、「マリオカート」のキャラクターを思わせるコスチュームを着た人物が写っており、この写真や動画は、原告の著作権を侵害すると主張しましたが、この点は裁判所では認められませんでした。この事件では絵画の複製がされていない、と判断されたからです。
この写真は判決文では掲載が省略されているので確認できませんでした。しかしいずれにしても裁判所の判断は、絵画を複製、つまりキャラクターのコピーがされていないから、著作権の主張は認められないというものでした。
確かにキャラクターの著作権はコスチュームを着た状態のキャラクターに成立するのであって、そのコスチュームに似た洋服を人間に着せても複製や翻案といえる場合は少ないでしょう。

翻訳

Nintendo Co., Ltd. (the plaintiff), which is famous for the game “Mario Kart”, filed a lawsuit against Mari Mobility Development Inc. (the defendant), which rents out go-karts for driving on public roads (Case No. Heisei 29 (wa) No. 6293).
The plaintiff (Nintendo) alleged that photographs and moving images for persons wearing costumes which called to mind the main features of “Mario Kart” characters infringed upon the plaintiff’s copyright; however, the court did not proceed with the ruling of copyright infringement because, in this case, the photographs were not directly copied from drawings.
In this court decision, the photographs were omitted so I could not confirm them for myself. At any rate, however, the court decision was that there were no copied drawings—namely, the game characters were not perfectly copied—and therefore, the claim for copyright infringement was dismissed.
Certainly, copyrights for characters are established with those characters wearing costumes; however, as we saw in this case, dressing other persons in costumes similar to those characters’ may not be ruled as a copy or adaptation of character copyrights.

奥田百子

東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)

著書

  • もう知らないではすまされない著作権
  • ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
  • 特許翻訳のテクニック
  • なるほど図解著作権法のしくみ
  • 国際特許出願マニュアル
  • なるほど図解商標法のしくみ
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