第215回特許の意味(2)
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
特許の意義について前回のブログで考えました。
Patentの語源はラテン語のpatentes(開示する)であり、国家にとっては開示してもらうことにメリットがあります。
では発明者のメリットはなんでしょうか。発明を独占する権利を与えられることですが、独占しただけでは、あまりメリットがありません。家や土地、宝石などの財産であれば、住む、身につけるなどのメリットを享受できます。
しかし発明は無体のアイディアであり、所有していることを実感できず、特許を有形のものに置き換えるとすれば、特許されたアイディアをもとにした製品、そして特許証です。発明を独占するといっても、有形の製品を独占できるわけではなく、アイディアの独占ですから、直接的な独占ではありません。家に他人が入り込むことはすぐ認識できますが、アイディアを遠隔の土地で他人に真似されていても、すぐには発見できません。
特許を持っていることを実感できるのは、ライセンスして利益を上げているとか、あるいは特許証という名誉を表したpaperです。ライセンス許諾して利益を上げるといっても時間とお金がかかるし、特許は発明者の名誉という側面が強いと思います。初期の特許の形態である特許状も名誉を与えるという側面が強かったと思います。
I speculated on the significance of patents in the last blog.
The word “patent” comes from a Latin word (patentes) which means “open,” and to have inventions open is advantageous to the state.
On another note, what are advantages for inventors? Inventors are given rights of exclusive possession of inventions but possession alone does not bring very many benefits to inventors. Inventors can enjoy the benefits of owning property such as houses, land, or jewelry; living in houses, wearing accessories, and so on.
Inventions are, however, intangible ideas, which do not allow inventors to actually sense the advantages of ownership. If replacing patents with tangible objects, they would be products based on patented ideas, and patent certificates. Possession of inventions does not mean possession of tangible products, but instead possession of ideas which are not directly held. We would quickly realize if there was an intruder in our house, but we cannot immediately find out about imitation of our ideas by other people in remote areas.
When inventors grant licenses for their inventions to make profits or receive patent paper certificates which represent an inventor’s honor, they can actually sense ownership of patents. Granting licenses to make profits takes time and money, from which it is concluded that the patent system stresses an aspect of appreciating inventors’ honor. I think that the letters issued as the initial form of patents have an aspect of celebrating honor.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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