第253回スクリーンショットの写り込み認められる
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
令和2年の著作権法改正で、スクリーンショットに他人の著作物(画像など)が写り込んでも、これを利用できることが規定されています。
そもそも写真を撮影したときに他人の著作物の写り込んでも、これは許されます。
例えば、部屋の写真を撮ったら、壁に有名な画家の絵がかかっており、これが写り込んでいたが、この写真をインターネットにアップロードしても著作権侵害にはなりません。
改正前は、写真撮影、録音、録画を行って著作物を創作する際に写り込んだ他人の著作物の利用が許されていましたが、改正法では著作物全般について許されることとなりました。
そこでスクリーンショットのような創作でない行為を行う際の写り込みを利用する行為も許されるようになりました。
もう1点変更されたのは、写り込んだ著作物が「分離不可能」という要件が削除されたことです。壁に掛かった絵は偶然にも写りこみ、写真から分離できません。しかし、改正後は、子供に縫いぐるみを抱っこさせて撮った写真を利用しても縫いぐるみの著作者の許諾は不要です。
The Copyright Act, amended in 2020, provides that even if other people’s copyrighted works (like an image) appear in a screenshot, that screenshot can be used.
Before the amendment, the Copyright Act also permitted the appearance of other people’s copyrighted works when taking photos.
For example, when taking a photo of a room, if a famous painting were to be hanging on the wall, and later appeared in the photo, then uploading that photo to the Internet would not infringe on the copyright of the painting.
Before the amendment, it was permissible to use other people’s copyrighted works which appeared when taking pictures and recording sounds and images to create copyrighted works, however the amended law permits the utilization of other people’s copyrighted works appearing in any copyrighted works, like screen shots.
Accordingly, the act of using an appearance when carrying out a non-creative act, such as taking a screenshot, has also become permissible.
Another amended provision is the requirement in which an appearing copyrighted work is “inseparable”, which was nullified. A picture hanging on a wall which accidentally appears in a photo is inseparable from that photo. After the amendment, using a picture of a child who has been instructed to hold a stuffed toy does not require the approval of the creator of the stuffed toy.
奥田百子
東京都生まれ、翻訳家、執筆家、弁理士、株式会社インターブックス顧問
大学卒業の翌年、弁理士登録
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)
著書
- もう知らないではすまされない著作権
- ゼロからできるアメリカ特許取得の実務と英語
- 特許翻訳のテクニック
- なるほど図解著作権法のしくみ
- 国際特許出願マニュアル
- なるほど図解商標法のしくみ
- なるほど図解特許法のしくみ
- こんなにおもしろい弁理士の仕事
- だれでも弁理士になれる本
- 改正・米国特許法のポイント
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