- 2025.02.03
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【品質管理課ブログ】個人的に気になる駅名について
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品質管理課は、主に「バイリンガルチェック」という工程に関わっています。この工程では、誤訳、訳漏れなど基本的なミスを修正するだけではなく、専門用語や固有名詞の調査も行います。固有名詞については、1次資料はもちろん、テキスト検索、画像検索、Google Mapのストリートビューなども活用して、徹底的に調査していますが、日本語の固有名詞の中にはユニークなものもあり、一筋縄ではいかない場合があります。今回のブログでは、鉄道好きなわたしがその例をご紹介します。
鉄道に関心を持っている方の中には、時刻表や地図を眺めるのがお好きな方が多いのではないでしょうか。何を隠そう、わたしもその一人です。
時刻表や地図を眺めていると、日本には多種多様な駅名や地名があることに驚かされます。文字どおりに読む駅名だけではありません。難しい読み方の駅名や、由来が想像できない駅名もあり、こうした駅名について調べることは、想像以上に楽しいものです。
カタカナ入りの駅名
数年前に話題となった高輪ゲートウェイ駅(JR東日本・京浜東北線・山手線、東京都港区)をはじめ、越谷レイクタウン駅(JR東日本・武蔵野線、埼玉県越谷市)やユニバーサルシティ駅(JR西日本・桜島線、大阪府大阪市此花区)など、カタカナ入りの駅名は意外と存在しますが、その中でも異彩を放っていると思う駅名をご紹介します。
・上ゲ駅(名古屋鉄道・河和線、愛知県知多郡武豊町)
「あげ」と読みます。漢字とカタカナが一文字ずつ並んでいるのは、なんだか変な気がします。駅の東側にある「上ケ(あげ)」という地区名に由来するようです。ここに行けば、気分もアゲアゲ(?)ですね。
・スクリーン駅(近江鉄道・多賀線、滋賀県彦根市)
従業員の利便性の向上を目的として、旧 大日本スクリーン製造株式会社彦根地区事業所(現 株式会社SCREENホールディングス彦根事業所)の敷地内に設置された駅です。駅前に大きい屋外スクリーンでもあるのかと思いました。
アルファベット入りの駅名
JR難波駅(JR西日本・関西本線、大阪府大阪市浪速区)やJA広島病院前駅(広島電鉄・宮島線、広島県廿日市市)など、西日本にはアルファベット入りの駅名がいくつか存在しますが、こちらでは東日本にあるアルファベット入りの駅名をご紹介します。
・YRP野比駅(京浜急行電鉄・久里浜線、神奈川県横須賀市)
「わいあーるぴーのび」駅です。初めて見たときは、「YRP」と「野比」との奇妙な組み合わせにびっくりしました。元々は野比駅でしたが、1997年に「横須賀リサーチパーク(Yokosuka Research Park)」が開設されたことに伴い、その翌年に改称されたようです。「野比」と聞くと、あのアニメのキャラクターを想起せずにはいられません。
YRP野比駅のように、駅の周辺に新しい施設が誕生したことによって駅名が変更された例は、他にもあります。例えば、東武鉄道・伊勢崎線の業平橋駅(東京都墨田区)は、東京スカイツリーの開業により、「とうきょうスカイツリー駅」に改称されました。旧名称にも新名称にもそれぞれのよさがありますが、旧名称にはどこか特別な魅力を感じてしまいます。
これに対して、学芸大学駅(東急電鉄・東横線、東京都目黒区)や都立大学駅(東急電鉄・東横線、東京都目黒区)のように、由来となった施設が移転したにもかかわらず、改称されていない駅名も存在します。いささか紛らわしい気がしますが、このようなレアケースも面白いですね。
八幡駅は、何駅?
以下の駅名は、いずれも「八幡」と表記されていますが……。
・八幡駅(遠州鉄道・鉄道線、静岡県浜松市中央区)
・八幡駅(JR九州・鹿児島本線、福岡県北九州市八幡東区)
・八幡駅(名古屋鉄道・豊川線、愛知県豊川市)
上から順に、「はちまん」駅、「やはた」駅、「やわた」駅です。同じ漢字ですが、三通りの読み方があるのは、なかなか珍しいのかもしれません。改めて考えてみると、漢字は難しいですね。
以前、青海駅(ゆりかもめ・東京臨海新交通臨海線、東京都江東区)と青梅駅(JR東日本・青梅線、東京都青梅市)とを間違える問題があると聞いたことがありますが、「八幡駅問題」も、もしかすると……。
ちなみに、このテーマは、同じく品質管理課のアーケインさんに教えていただきました。アーケインさんもブログを執筆されていますので、よろしければぜひご覧ください*。
*【品質管理課ブログ】Common Pitfalls When Describing Japanese Cultural Heritage Sites
初見で読めなかった駅名
難読駅名に遭遇すると、わくわくします(……よね?)。こちらでは、初見で読めなかった駅名をご紹介します。
・左沢駅(JR東日本・左沢線、山形県西村山郡大江町)
「ひだりさわ」かと思いきや、「あてらざわ」といいます。「左」を「あてら」と読むとは……、全く想像できませんでした。由来については諸説あるようですが、例えば、「あちらの沢」から「あてらざわ」になったという一説があります。大江町観光物産協会の公式サイトで詳しく紹介されていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
・音威子府駅(JR北海道・宗谷本線、北海道中川郡音威子府村)
北海道在住の方からすれば難なく読める駅名かもしれませんが、恥ずかしながら、「おといこふ」と誤読してしまいました。正しくは、「おといねっぷ」です。「ねっぷ」の響きがいいですね。ついつい言いたくなります。
音威子府はアイヌ語に由来する地名で、音威子府村の公式サイトによると、「濁りたる泥川、漂木の堆積する川口、または折れ曲がる川尻」という意味だそうです。
・占冠駅(JR北海道・石勝線、北海道勇払郡占冠村)
次も北海道の駅名です。そのまま音読みすれば「せんかん」ですが、これで「しむかっぷ」と読みます。「しむ」は「占める」に由来しているのだろうと想像します。「かっぷ」に「冠」を当てたのは、少し強引かな……とも思いますが、興味深いです。
占冠もアイヌ語に由来する地名で、占冠村の公式サイトによると、「とても静かで平和な上流の場所」という意味だそうです。
占冠のほかにも、北海道には「冠」を「かっぷ」と読む駅名が存在しました。例えば、「愛冠(あいかっぷ)駅(北海道ちほく高原鉄道・ふるさと銀河線、北海道足寄郡足寄町)」や「新冠(にいかっぷ)駅(JR北海道・日高本線、北海道新冠郡新冠町)」が挙げられます。いずれも廃駅となりました。
以上、個人的に気になった駅名をご紹介しました。固有名詞は、一見すると簡単に見えるものでも、インターネットをはじめ、あらゆるソースを活用して確認することが重要です。調査の重要性を肝に銘じて、よりよい翻訳を追求してまいります。
最後までお読みくださり、ありがとうございました!
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品質管理課メンバー:ルゴーサ |
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