2024.01.08
翻訳外注ノウハウ

【完全ガイド】はじめての翻訳外注

【完全ガイド】はじめての翻訳外注

慣れないうちの翻訳対応は大変です。外国語に堪能であれば自分でやってしまうという手もありますが、翻訳に掛かる時間や翻訳の品質に責任を持たねばならないことを考えるとやはり、自分でやる以外の方法を考えたほうがよいかもしれません。今回ははじめて翻訳の依頼が必要となった方のために、たどるべきプロセスをわかりやすく説明します。ひとつずつみていきましょう。

どこで使う・何語への翻訳が必要なのか確認する

万国共通語として世界中で使われている英語にも、国によって違いがあります。代表的なものは、イギリスで使われている「英国式」とアメリカで使われている「米国式」の違いです。また、中国語には本土で使われる「簡体字(かんたいじ)中国語」と香港、台湾で使われる「繁体字(はんたいじ)中国語」があります。さらに、ポルトガル語にもポルトガル本国で使われるものと南米ブラジルで使われるものがあり、スペイン語も同様に広く世界に行き渡っており、カナダで使用されるフランス語、といったものもあります。

よって日本語から外国語に翻訳する場合は「どこの国で使うのか」、外国語から日本語に翻訳する場合は「どこの国で作られたものなのか」を確認することで、翻訳すべき正確な言語を確認することができるのです。

誰に向けた・どんな翻訳が必要なのか確認する

翻訳は読み手によって必要となる品質その他が異なるので、「誰に向けたものなのか」をしっかりと考えましょう。それにより「どんな翻訳が必要なのか」がはっきりします。そのためには次のようなことを考える必要があるわけですが、翻訳の品質レベルは必ずしも高ければ良いのではなく、読者に合わせて読みやすさを追求することが必要な場合もあります。また、社外向けと社内向けでは翻訳品質の良し悪しによるリスクが異なる、ということを念頭に対応するようにしましょう。

  • 一般公開するのか
  • 関係者へ情報伝達、共有するだけか
  • ざっと内容や主旨を理解するだけか
  • 社外向けか、社内向けか
  • 読者はネイティブか
  • 読者はノンネイティブか

翻訳したものをどう使うのか確認する

印刷物として使用する、ウェブサイトとして公開する、プレゼンテーションに資料する、内容を確認するため、社内で回覧する、など翻訳の用途はさまざまで、それによって翻訳に求められるものも大きく変わるため、翻訳したものをどう使うのか事前にしっかり確認しておきましょう。そもそも文章を作成するときには、あらかじめ用途が決まっているものです。発注者自身が翻訳文書の用途を知っているべきなのは、翻訳者がそれを必要とすることと同じです。

プロの翻訳者は用途に合わせて適切な翻訳文を作りますが、「どこに掲載するのか」「どんな目的で誰が読むのか」によって翻訳にどのようなスタイルや用語、表現を使うべきかが決まります。また、翻訳者や翻訳会社と長期的な関係を築くことが、最良の翻訳を生むことも間違いありません。共有する時間が長いほど翻訳者や翻訳会社も自社の経営哲学や方針、製品についての知識が深まり、効果的な翻訳にすることができるようになるからです。いずれにせよ翻訳の用途を確認することは、最良の翻訳を作る上で必要不可欠なことなのです。

翻訳に費用をかけてよいのか確認する

「翻訳に掛ける費用」と「翻訳の品質」は比例するため、予算をしっかりと割き、目的に沿った、期待する成果を導いてくれる翻訳を手にすることが望ましいのは言うまでもありません。しかしかならずしも余裕があるわけではないと思いますので、翻訳に掛ける予算や費用感の確認が必要となります。

今や低コスト、短納期が求められる翻訳の頂点に君臨している自動翻訳(機械翻訳)ですが、残念ながらその精度(翻訳品質)は安心して任せられるレベルには達していません。しかし翻訳する目的がざっと内容を確認する程度であったり、自身に外国語能力があるのでその下地として使用する、または(簡単な名詞の羅列など)機械的な単語の置き換えだけで済む場合は、無料で済むこともあり、自動翻訳(機械翻訳)の効果は絶大です。

一方、文節(句読点のあいだ)が長い、コンテクスト(文脈)を読む必要がある、主語が曖昧である、ニュアンスを反映させる必要がある、創造性を必要とする、ビジネス上絶対に間違えられない、といった文章の場合は相応の費用を投じてプロの翻訳者に依頼するのが賢明です。

いつまでに翻訳しないといけないのか確認する

突発的で致し方ない場合を除いて、短い納期に良いことはありません。翻訳コストが上がるだけでなく、翻訳の品質が劣化する危険性が高まるからです。よって翻訳依頼は計画的に、余裕を持って、納期設定も適切に行う必要がありますが、これは依頼主だけでなく依頼先に対しても同じです。

誰かに何かを依頼する際は、自社側に(予期せぬ事態に備え)バッファ(余裕期間)を確保しようとしてしまいがちですが、必要以上に納期を短くするとかえって良くない結果を招くことになります。まずは依頼先に標準納期を聞き、しっかりと余裕を持って翻訳を依頼することが肝要です。その上でもし標準納期よりもずっと長めの対応で良いなら、それを品質向上か値引きに充てることが望ましいでしょう。

余裕ある納期設定は、価格交渉の好材料となる場合がある、最適な翻訳スタッフや翻訳者に対応してもらえる、人気のある翻訳者のスケジュールを押さえることができる、といったかたちでメリットとして返ってきます。もしどうしても短納期で依頼しなければならない場合は、あらかじめ依頼先に予定を伝えておきましょう。また、無理な納期で依頼する場合は、品質劣化をある程度許容する心構えも必要となります。

翻訳の方法を検討する

先述の自動翻訳(機械翻訳)をはじめ、翻訳には次のようにさまざまな方法があります。

  • 無料の自動翻訳(機械翻訳):某検索大手が提供するサービスが代表的
  • 有料の自動翻訳(機械翻訳):機械翻訳専門の会社が販売しているソフトウェア
  • ポストエディティング:MTPE、機械翻訳したものを人間が手直しする方法
  • クラウド翻訳:依頼主と翻訳者をダイレクトにつなぐマッチングサービス
  • 人間翻訳:プロ翻訳者による翻訳

現代では翻訳方法の選択肢も大幅に増え、使い分けの判断も難しくなっていますが、翻訳に掛かるコストで比較するのも一手です。ただし翻訳に掛ける費用と翻訳の品質は比例するので、求める品質と掛かる費用のバランスがとれる翻訳方法が最適と言っても過言ではありません。それでも判断に迷うときは、各サービスを提供する企業に問い合わせることをお勧めします。問い合わせた際に、お客様のことを考え、公平な立場からアドバイスしてくれる企業は良い依頼先と言えます。

見積もりを依頼する相手を決める

翻訳方法が決まったら、翻訳の見積を依頼する相手を探しましょう。必要なキーワードを入力して検索すれば、広告も含め数多くの翻訳会社や翻訳者が見つかるはずです。ここで気を付けるべきは、サイトに記載されている情報の多くは商用(PR)であり、同業他社の目を意識したもので、誤解を恐れずに言うと少し飾った内容であることを知っておくことです。

料金、実績、その他多くの情報がサイトには記載されていますが、依頼主がその信ぴょう性をはかる術は残念ながらありません。そこでもっとも有効な判断基準となるのが、「連絡した際の相手の対応」です。以下のような対応結果は、見積を依頼したあとや翻訳を発注したあとの対応にも大きく影響し、また、人や会社によって違いが如実に現れますので、もっとも信頼の置ける判断基準となるでしょう。

  • レスポンスの速さは?
  • ヒアリングの内容は?
  • 親身になって対応してくれたか?
  • 依頼主の立場を考え、期待に応えてくれるようなスタンスだったか?

見積もり依頼先に必要な情報を正確に伝える

翻訳の見積を依頼する際、最低限必要になるのは、言語ペア(何語から何語への翻訳なのか)と原稿ボリューム(文字数、単語数など)の二つの情報ですが、これらで基本的な翻訳料金はすぐにわかります。しかし翻訳を依頼するときにはそこにかならず目的や期待する効果や成果があるはずです。目的や効果、成果に相応しい翻訳を手に入れるためにも情報はできるかぎり多く、正確に、惜しまずに伝えましょう。具体的には次のとおりです。

  • 希望納期(あれば)
  • 原稿の体裁(紙媒体、冊子、電子ファイルなど、さらに電子ファイルの場合はそのファイル形式など)
  • 図や表、画像の処理やコーディングなど、純粋な翻訳以外の作業の要不要
  • 翻訳の用途や目的、(あれば)翻訳に期待する成果

翻訳の発注先を決める

翻訳の発注先を決める上で大切なのは、見積料金だけで決めないということです。翻訳は文章というクリエイション(創造物)であり、工業製品のような統一規格もなくまた、規格を統一できるものではありません。同じモノ、コトを耳や目にしたり体験しても人によって印象や感想、表現が変わるように、翻訳はそれを翻訳する人によって結果が大きく変わるものです。

どこに頼んでも同じであれば、発注先を料金で決めるのは間違いではありませんが、翻訳発注に関してはレスポンスの速さ、ヒアリングの内容、親身な対応か否か、依頼主の立場を考え期待に応えてくれるようなスタンスだったか、といったことに重きを置いて判断されることをお勧めします。これらを軽視すると、あとで厳しい状況に陥る可能性が増すことも合わせて理解いただければと思います。

翻訳を発注する

翻訳を発注する際にもっとも重要なのは、発注したあとに原稿の内容を変更したり、原稿の修正を依頼したりすることを極力避けることです。翻訳が必要な原稿の内容はかならず発注前に確定させておき、余計な混乱をあとで生まないようにしましょう。

五月雨(さみだれ)式に原稿を提供すると、誤訳や取り扱い上のミスを誘発し、納期遅れや翻訳品質の低下に直結します。原稿の内容がまだしっかり固まっていない状態で翻訳を進めないこと、またもし翻訳会社や翻訳者が原稿内容が未確定のうちに翻訳を始めようとしたら、内容が確定するまでは待つように指示するのが賢明です。

翻訳を受け取る

紙に出力したものを郵送したり、電子データをCD-Rなどに保存したものを郵送したり、電子ファイルをメール添付で送ったり、ファイル転送サービスを使って電子ファイル送ったり、と翻訳の納品方法はさまざまです。よって納品の仕方もあらかじめ決めておくことをお勧めします。できれば見積の時点で決めておくことが望ましいでしょう。

翻訳の品質を確認する

依頼先から納品された翻訳の品質はかならず確認するようにしましょう。依頼先はもちろんその品質を保証したうえで納品していますが、翻訳は文章というクリエイションにつき、表現の仕方やニュアンスなど、曖昧で十分に伝えきれなかった部分で思い通りでない場合もあり、また、誤訳、異訳、訳漏れ、スペルミスといった初歩的なミスが生じる場合もあります。

十分にその内容を確認しなかった翻訳が、のちに大きな問題の原因となることは歴史的にも枚挙に暇がありませんし、問題が起こってから依頼先の責任を問うても、自分や自社の損失、特に社会的信用の失墜などがかならずしも回復されるとはかぎりません。依頼先との信頼関係は大切ですが、翻訳の品質については任せきりにせずしっかり内容を確認することが大切です。

次回の翻訳依頼に備える

納品物の内容確認を終え、無事に検収したらそこで終わりではありません。翻訳は自分、自社の資産でもあるため、次回に備え、データの保存や共有といった有効活用にも努めましょう。できれば用語集(原文と翻訳文を対比表)の作成を行い、次回翻訳を依頼する際に提供できるよう備えておきましょう。有料の場合が多いですが、用語集については依頼先に作成を頼むことも可能です。

まとめ

以上、「【完全ガイド】はじめての翻訳外注」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージ契約書取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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