2024.09.30
翻訳外注ノウハウ

【翻訳の品質を高めるために】知っておくべきこと

【翻訳の品質を高めるために】知っておくべきこと

インターネットの普及に伴ない、個人がいとも簡単に、大多数に向けて情報を発信できるようになりました。しかしその簡易さゆえに、情報としての信ぴょう性だけでなく、文章としての質が伴なわないものが大量に生産、散乱されるようになり、大小さまざまな悪影響を及ぼしていることも事実です。本コラムでは、翻訳の元になる文章(原稿)および、その質へのこだわりの重要性についてお伝えします。

文章とは

「文章」とは文(ぶん)がいくつか連なったものです。「文」とは文法上の一単位であり、句点(。)から句点(。)までの、思想や感情など内容を表すひと続きのまとまった言葉のことです。「文書」「文面」など「文」を用いた言葉はいくつかありますが、「もん」や「あや」とも読まれる「文(ぶん)」という字は「模様」のことでもあり、模様は「外見を美しく見せるためのもの」です。

つまり、土器の模様である象形文字を語源とする「文(ぶん)」とは本来「なにかを美しく見せるためのもの」であり、章>節>項>目の順に細かくなる、いずれも文の区切りを示す言葉のうち「章」と組み合わさってできた「文章」という言葉には、「なにかを美しく見せるための文(ぶん)をさらに増強するためのもの」といった意味があると考えてよいのではないでしょうか。

文章を書く目的

口コミ、噂、評判やテレビCM、テレビショッピング、インターネット動画といった人がその口から発する言葉や映像そして、ピクドクラムのような文字を使わない静止画を除くと、世の中の情報のほとんどは文字、つまり文章で「発信」されています。「発信」とは自分、自社からそれ以外の何か、誰か、つまり一人称から二人称や三人称に対して行われるものであり、そこにはなんらかの理由や目的があるものです。

営利目的の民間企業であれば、「発信」の最終目的は利益の拡大です。利益のために売上を拡大し、売上拡大のために認知度を高め、認知度向上のために露出する機会を増やす、といった構図は営利団体であればどこも同じです。非営利団体や行政であれば、社会、地域、個人の安心、安全や環境保護など、自団体やその活動の公共的価値を高めることが目的なのでしょう。

このようにそれぞれ内容は異なるものの、目的を果たすための手段のひとつである「発信」、さらにその手段のひとつとして文章は書かれるのです。よって文章を書く目的は、自分、自社、自団体の意見や情報を伝え、それを読んだ人、つまり他者を動かすことなのです。

文章に求められるもの

文章を書く目的が他者を動かすことである以上、それを「発信」する必要があります。そして、発信の効果や成果はその反応の大きさによって測られるものです。キャッチコピーやキャッチフレーズにはいつまでも語り継がれ、記憶に残る名作と呼ばれるものが多々あり、コピーライターにも有名な人がたくさんいます。名作、名文句、名台詞、流行語、金言、格言、バズワードなど、文章の長さやその内容によって呼び名はいろいろありますが、いずれにも共通するのはその反応、言い換えるとその影響力の大きさです。

販促活動を筆頭に、営利目的の企業活動に於ける発信情報の影響力は売上や利益に直結します。非営利の団体や行政などが発信する情報の影響力は社会、地域の安心、安全や環境保護など公共的価値に直結するのみならず、場合によっては人の命に関わります。ゆえ文章に求められる成果は以下のようなものであり、そのような成果を導くことのできる価値のある内容にすることこそ文章に求められることなのです。

  • どれほど読んだ人の記憶に留まるか
  • どれほど読んだ人の利益につながったか
  • どれほど多くの人に読まれたか
  • どれほど長い期間流布したか

文章の質とは

成果を導き出せる、価値あるものにするには文章の質を上げる必要があります。文章の質は読み易さ、わかり易さ、信頼性などによって測られるものですが、いずれも実現することは決して簡単なことではありません。以下のように細かい点を挙げるとキリがありませんが、実にさまざま要素が組み合わさってできているものが文章です。よって文章の質を上げるにはなによりもまず文章の質そのものに目を向け、常に意識することが求められます。

  • 意図が伝わる構成になっているか
  • 起承転結やPREP法など、リズム感があってテンポ良く読める内容か
  • 論理や展開に矛盾はないか
  • 文法は正しく使われているか
  • 表現が曖昧でわかりにくくなっていないか
  • 重複がなくわかり易いものか
  • 冗長でなく簡潔にまとめられているか
  • 事実関係に誤りはないか

文章の質を高めるには

文章の質を高めるには、インターネットにあふれるチェックポイントを参考に、とにかく推敲(すいこう)を重ねることです。推敲とは文章を何度も練り直すことですが、最初から最後まで何度も読み直して修正を繰り返すことで文章の質は徐々に高まっていきます。「推敲とは」「文章の質」「文章_チェックポイント」といったキーワードで検索すれば有益な情報が溢れていますので、ぜひ調べてみてください。

ただし、どんなに推敲しても文章の質は書き手の能力を上回ることはありませんので、推敲する癖を付けると同時に書き手の文章作成力自体も高める必要があります。書き手の文章作成能力を高める方法は二つです。「読む量を増やすこと」と「書く量を増やすこと」です。読む量が増えることで、自分以外の人がどのように文章で表現しているかがわかり、書く量を増やすことで書き方を体得することができ、いずれかもしくは、いずれもの量に比例してあなたが作る文章の質は飛躍的に向上していくことは間違いないでしょう。

同じ内容でも文章は人の数だけあります。言い換えると表現方法は人それぞれです。世の中に溢れる文章というテキスト情報のなかに埋もれてしまわず、より多くの人に長く読まれ、大きな影響を与えるためにはとにかく、文章の質とそれを高めることを意識することが肝要です。

最後に

今回は文章そのものにフォーカスし、言語には敢えて触れずにおいたので、おそらくこの日本語のコラムをお読みいただいたほとんどの方(おそらく日本人)は、「日本語の文章」をイメージされていたことと思います。文章の定義や、それを作る目的、求められるものやその質の重要性は万国共通であり言語によって変わるものではありませんが、文章の質にこだわることが大事であることは翻訳も同じです。翻訳とは「ある言語で書かれた元の文章」を「別の言語で新たな文章」に書き換えることですが、翻訳の質は後者を以て語られることがほとんどで、元の文章の質が大きく影響することは意外に知られていません。つまり、翻訳の過程、つまり翻訳技術よりも「元の文章」の良し悪しが、結果である翻訳の質を大きく左右しているということです。

余談ですが、ユネスコが定義付ける「識字率(日常生活で必要な簡単な文章を読み書きできる15歳以上の人の割合)」は教育制度に比例するため、先進国、発展途上国、後発開発途上国の順で高いですが、THE WORLD BANKによれば2019年時点の世界平均は86%と言われています。つまり人類10人のうち8~9人は文字情報である文章を読解することができるわけですが、より多くの人に影響力のメッセージである文章を届けるのであれば、翻訳の質にこだわると同時に、その元になる文章の質を強く意識して高めることがとても大切だということです。「高い品質の翻訳を求めるのであれば、その元となる文章がそれに値する質を持っているかどうかの確認が必要」ということです。

まとめ

以上、「【翻訳の品質を高めるために】知っておくべきこと」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。

高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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