- 2024.04.08
- 翻訳外注ノウハウ
【翻訳を外注するとき】かならず踏むべき5つのステップ
翻訳しなければならないときは、ある日突然やってきます。日常的に翻訳を行っている企業では、社内に担当者がいたり専門部署があったり、翻訳の方法や依頼先についてもやり方や取引先が決まっているので、悩むことなくひとつとの業務として機械的に処理することが可能でしょう。しかし多くの日本企業の場合、翻訳が必要になる事態に遭遇するのはある日突然であったり、数か月または、年に一度など不定期であるものです。
いざというときのためにこそ常日頃から備えと言うのは簡単ですが、普段から目にすることも意識することもほとんどなくまた、いつ必要になるかもわからない「翻訳」のために準備しておくことは簡単ではありません。本コラムは、翻訳を依頼しなければならない、翻訳の依頼方法について調べ始めた方が踏むべきステップについてご説明します。
1.外注する準備をする
最初に行うべきは、翻訳を外注するための準備です。具体的には次のようなことを行います。
翻訳する目的と、翻訳に期待する成果について考える
- 目の前には翻訳が必要なドキュメント(文書)がある
- わかっていることはこれを○○語に翻訳しなければならない、ということだけ
- さてどうしようか
- 社内に誰か、外国語ができる人居なかったかな…
- 知り合いにそんな人が誰かいたっけ…
- とりあえずネットで調べてみるか…
- 「翻訳_外注_英語_契約書…」というキーワードで…
このコラムをお読みいただいているあなたはおそらく、こんな思考、経緯でこのページにたどり着いていただいたのではないでしょうか。そして上位表示された会社やサイトの問い合わせフォームに進んで見積もりを依頼、というのが、このあとあなたがおそらくとるであろう行動だと思いますが、ちょっと待ってください。なぜ翻訳するのか?翻訳することによってどんな結果を欲しいのか?先によく考えてみてください。
あなたが主体的に関わっているお仕事で必要になったのであれば、わざわざ考えるまでもないかもしれません。しかし上司や同僚など、ほかの人に頼まれた場合はどうでしょうか。自身が主体的に関わっていることであっても、翻訳する目的や翻訳に期待する成果についてよく考えることは決して無駄ではありません。なぜなら、翻訳を外注する際に外注先に共有すべきことがクリアになるからです。
翻訳を外注する文章(原稿)の出来具合を見直す
翻訳する目的や期待する成果が明確になったら、次は原稿がその目的や期待する成果を導くに相応しい出来具合(品質)かどうかを確認してください。相応しいかどうか、とは「理想とする翻訳後の文章の原稿として相応しいかどうか」です。素晴らしい料理は厳選された素材から生み出されます。調理方法や調理する人によってももちろん変わりますが、それらは依頼先の仕事ですので、あなたがすべきは素材を厳選することなのです。
翻訳を依頼する際に素材となるのは原稿です。原稿の出来具合が翻訳後の品質を決めるといっても過言ではないのです。原稿の出来具合は実にさまざまで、すぐにわかる誤りから一読しただけではその良し悪しを判別しづらいものまでいろいろですが、間違いないのは良質ではない素材から良質なものを生み出すのは難しいということです。
- 主語がない
- “てにをは”がおかしい
- 誤字、脱字がある
- 文法が破綻している
- 結局何が言いたいのかわからない
- どのようにでも解釈できる(誤解を与える)
翻訳は、原稿の内容をほかの言語で表現することです。そこに求められるのは「正確性」と「文章としての美しさ」であり、「推理」ではないのです。「何を言いたいのかわからないが、おそらくこういうことだろう」という勝手な推測のもとに翻訳をするのは、依頼主のためにも原稿作成者のためにもしてはならないことなのです。目的に合った、期待する成果を導く翻訳を得たいのであれば、原稿の出来具合(品質)についてまずはよく確認するようにしてください。
2.翻訳方法を考える
翻訳する目的と期待する成果についてよく考え、原稿の出来具合の確認を終えたら、次に行うのはそれらを「どの方法で翻訳するか」考えるということです。
さまざまな翻訳方法を知る
翻訳の方法には次のように多くの選択肢があり、その特長もさまざまです。それぞれの翻訳方法の詳細についてはインターネットに情報があふれているので、調べてみることをお勧めします。
無料の翻訳方法
翻訳方法 | コスト | 品質その他 |
自分 | 無料(ただし自身の時間コストを除く) | 自身の外国語力次第 |
自動翻訳(機械翻訳) | 無料 | 機械翻訳の精度に依存(多くの場合そのままでは使えない) |
知人 | 無料(または謝礼程度) | 知人の外国語力次第 |
有料の翻訳方法
翻訳方法 | コスト | 品質その他 |
一般クラウドソーシングサービス | 低 | 未知数。外注先の力量次第(依頼主にとっては一発勝負的要素が強い) |
翻訳会社のクラウドサービス | 低 | 未知数。外注先の力量次第(ただし、翻訳会社がリソースをソートしているため一般的なクラウドソーシングサービスより失敗する確率は低い) |
翻訳会社の機械翻訳サービス | 中 | 使用されている機械翻訳エンジンの精度次第。機械翻訳したものを人が手直しするポストエディティング(MTPE)というサービスもある |
翻訳会社の人間翻訳サービス | 高 | 品質が担保されるので不安要素は少ないが、その分料金が高い(ただし、低料金をうたう翻訳会社は低品質であることが多い) |
どの翻訳方法が適切か決める
「翻訳の方法には多くの選択肢があり、その特長もさまざまである」ことがわかったら、次にするのは「翻訳する目的と期待する成果にはどの方法が最適なのかを考える」ことです。しかし翻訳の方法、コスト、品質はさまざまなので、どの方法が最適か判断するのは簡単ではありません。そこでひとつの参考になるのが「どれほどの品質を翻訳に求めるか」という判断基準です。
誤解されがちですが、工業製品と違って翻訳は「どの方法で行っても、誰がやっても同じ(一定の品質)」ではありません。翻訳の品質は、翻訳する方法や翻訳をする人によって想像以上に大きく変わるのです。なぜなら翻訳物は「文章」だからです。同じ内容について書かれたものであっても、文章はそれを書いた人によって表現も、読む人の印象も変わります。
一般的に翻訳は、正確性に加え文章としての美しさを求めれば求めるほどコストは上がります。逆に、(ECサイトの製品スペックなど単純な数値や単語の羅列など)機械的な言語転換で十分という場合は、品質を求める必要がない分コストは下がります。グラデーションのように変わる翻訳の品質にどれほどのレベルを求めるかをひとつの基準とし、掛けられる時間やコストと相談しながら翻訳する方法を選ぶようにしましょう。
3.見積依頼する
翻訳する方法を検討した結果、有料の翻訳を行う(翻訳を外注する)ことを決めたら、外注先候補に見積もりを依頼することになるでしょう。と言ってもクラウドソーシングサービスや自動翻訳(機械翻訳)サービスの場合は次のようにウェブサイトに参考料金が表示されています。
- 一般的なクラウドソーシングサービスの場合は、登録者があらかじめ参考料金を掲載している
- 翻訳会社が運営するクラウドソーシングサービスの場合は、単位当たり翻訳料金(原稿1文字または、1単語あたり料金など)が決まっていてサイト上で翻訳料金が確認できる
- 翻訳会社が提供する自動翻訳(機械翻訳)サービスの場合は、導入費用を一括・その後は月額運営費といったかたちであらかじめ決まっていることが多い
ゆえに実際に翻訳の見積もりを依頼するのは「翻訳会社の人間翻訳サービスを利用する場合」がほとんどだと思いますが、このときに気を付けるべきは、見積依頼先の検討候補から「見積比較サイト」「一括見積サイト」を外すことです。なぜなら前述のとおり、「翻訳はどの方法で行っても、誰がやっても同じ(一定の品質)ではない」「正確性に加え、文章としての美しさ(品質)を求めれば求めるほどコストは上がる」ものなので、単純に見積額だけで発注先を決めるべきではないからです。
見積比較サイト、一括見積サイトは、一定の品質(スペック)が必ず保証される製品やサービスには有効ですが、サイト運営会社の仲介費用が登録業者の利益を圧迫すること、そして登録業者間で価格競争に陥る可能性が高いため、その帳尻を翻訳品質の調整(劣化)によって補なうことになります。ゆえに翻訳の見積もりを依頼する際は、(翻訳品質は度外視という場合を除き)まずはこれらの選択肢を外すことが肝要です。
そして残った候補(検索の結果サイトに表示されている翻訳会社)の何社かに見積もりを依頼するわけですが、このときに「どこに依頼すべきか」については正直に言って明確な判断基準はありません。よって検索の結果ブラウザーに表示されたタイトルやディスクリプションそして、クリックした先のホームぺージやランディングページなどのコンテンツから、これはと思う翻訳会社をいくつか選んで問い合わせてみるほかありません。
ただし翻訳会社に問い合わせた際に参考となるのは、問い合わせたり見積もりを依頼した際の「対応スピード」や「対応内容」です。「どれほど良いレスポンスであったか」「声色からうかがえる顧客サービスに対する担当者の姿勢」「ヒアリング能力」などはその後に提示される見積書の精度や発注後の対応、納品される翻訳の品質にかなりの確度で影響しますので、翻訳の見積もりを依頼する際はよく確認、記憶しておくようにするとよいでしょう。
4.見積書の内容を確認する
複数の翻訳発注先候補から提示された見積書の内容はよく確認した上で吟味、比較する必要があります。見積書の内容で注意すべき点は、「明細が細かいか(作業内容毎に記載されているか、”一式”のように粗い見積もりになっていないか)」「他の会社と極端に料金が違わないか(極端に安くないか、など)」「明細、金額、納期以外になにか提案(選択肢の提示など)があったか」といったことですが、言うまでもなくこれらすべてをクリアしたなかから最適と思える翻訳会社に翻訳を外注することが、目的に合った、期待する成果を導く翻訳を得るための近道です。
絶対に避けていただきたいのは、単純に「もっとも安い業者に発注すること」ですが、残念なことにほとんど場合翻訳の外注先はそのようにして決まってしまっています。そしてその結果、「期待した品質の翻訳が納品されなかった」という例は枚挙に暇がありません。翻訳外注に失敗し、別の新たな翻訳会社を探して転々とする「翻訳会社渡り鳥」にならないためにも、見積書の内容はよく確認し、料金だけを基準にしないようにしましょう。
トライアル翻訳(試訳)の利用も検討する
「発注前に翻訳品質を確認するために行う少量の翻訳」のことをトライアル翻訳(試訳)と言いますが、翻訳会社によっては無料または有料で対応してくれます。求める品質レベルが高く、翻訳の品質で絶対に失敗できない場合はトライアル翻訳を利用してみることをお勧めします。
「日本語の場合は400文字まで」「英語の場合は200単語まで」のように上限がある場合が多いですが、その対応姿勢や納品された翻訳内容は、翻訳の依頼先を決める上でひとつの参考になることは間違いありません。ただし、トライアル翻訳(試訳)と本番で翻訳者が変わってしまっては、翻訳品質の再現性がなくなるため元も子もありません。
「依頼主の翻訳品質に対する高い要求レベルに到達するために、トライアル翻訳だけ手の切れるような素晴らしい翻訳を納品してくる」といったケースも皆無ではないため注意が必要です。そこでトライアル翻訳を依頼する際は、「本番と同じ翻訳者に対応してもらえるのか確認する」「トライアル翻訳と同じ翻訳者をかならず本番で使用することを約束しておく」こともひとつの手段です。
最後に、お客様に対しては無料で提供しているトライアル翻訳も、翻訳会社から翻訳者へは翻訳料を支払っています。よってトライアル翻訳を依頼する際は、事前に見積書の内容を確認し、「あとは翻訳品質にさえ問題がなければかならず発注する」といった翻訳会社に対する紳士的な対応を忘れないようにしていただきたいと思います。
5.翻訳外注先を選ぶ
ここまでのプロセスを経て選んだ翻訳の外注先であれば、翻訳する目的と翻訳に期待する成果を導くに値する翻訳をきっと届けてくれることと思います。しかし、普段目にすることも意識することもほとんどなくまた、いつ起こるかわからない「翻訳」というよくわからないもののために、ここまでのプロセスを辿ることはきっと大変だと思います。そのような場合はとにかく「検索結果から選んだ複数の翻訳会社」に問い合わせてしまいましょう。そして、連絡してきた担当者にわからないことをすべて聞いてみましょう。
「一度問い合わせると、その後しつこく営業されるのではないか」と心配かもしれませんが、問い合わせた際やその後の対応こそが信頼できる翻訳外注先を選ぶ上での判断基準としてもっとも有効、と言っても過言ではありません。
- 強引な営業
- 口先だけの営業
- レスポンスが遅い
- 聞いたことに答えてくれない
- とにかく料金の安さをアピールしてくる
このような会社が提供するサービスがどのようなものであるかは想像に難くないと思います。
- 翻訳専業で
- 翻訳品質にこだわりつつも
- お客様の目的や期待する成果に最適な翻訳を届けようとする
問い合わせた際にそんな姿勢が感じられた相手こそが、本当に翻訳を外注すべき相手なのです。
最後に
翻訳しなければならないときが訪れた、翻訳依依頼仕方について慌てて調べ始めた方のお役に少しでも立てればと思い長々とお話ししてきましたが、最後に今一度お伝えしたいのは次のとおりです。
- 翻訳の方法にはいろいろあるので最適な翻訳方法を選ぶこと
- 翻訳を外注する前に行うべき大切なことがあること
- 料金だけで翻訳の外注先を決めないこと
とはいえ翻訳を依頼するときというのは、翻訳の品質以外にも予算や納期など、検討すべき事項が山積みなものです。それらを翻訳に不慣れなあなたがひとりで抱え、ひとりで悩むことは得策ではないので、翻訳会社にぜひ相談してください。繰り返しますが、そのときの「翻訳会社の担当者の対応内容」こそが翻訳外注先を選ぶ上でもっとも有効な判断基準になるのです。
まとめ
以上、「【翻訳を外注するとき】かならず踏むべき5つのステップ」でしたがいかがでしたでしょうか。
当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージや契約書、取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。
高い品質が求められる外国語対応や翻訳についてもしお困りでしたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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