2023.10.30
翻訳外注ノウハウ

賢い【翻訳方法の使い分け方】

賢い【翻訳方法の使い分け方】

自動翻訳(機械翻訳)やポストエディット、クラウド翻訳や人間翻訳など、一概に翻訳と言ってもその方法はさまざまです。AI翻訳、ニューラル機械翻訳と呼ばれ先進的なイメージで、自治体などが積極的に導入を進めている自動翻訳(機械翻訳)の精度については、Google翻訳を利用した方ならどの程度かおわかりかと思います。これらさまざまな翻訳方法は、その優劣や良し悪しを比較するものではなく、それぞれに一長一短があるので、コスト、品質、納期など「翻訳に何を求めるか」によって賢く使い分けることが大切です。本コラムでは、どのように使い分けるかについて解説します。

コストを重視する場合

自動翻訳(機械翻訳)がおすすめ

翻訳コストを重視する場合は、自動翻訳(機械翻訳)がもっともコストを抑えることのできる翻訳方法です。Google翻訳は無料で、専業各社がパッケージまたは、オンライン販売している自動翻訳ソフトを有料で購入しても、減価償却にさほど時間は掛かりません。ただし自動翻訳(機械翻訳)を使う場合は、それなりの翻訳品質を許容する、つまりある程度品質が低くてもOKとする必要があります。次のような用途であれば、自動翻訳(機械翻訳)はコスト面で大きく貢献してくれることでしょう。ただしこれら以外が翻訳に求められる場合は、安易に自動翻訳(機械翻訳)を使うのは避けたほうがよいでしょう。

  • 海外とのメールのやりとりなど、多少のミスコミュニケーションは大きな問題にならない
  • 原稿が長文や短文といった文章ではなく、単語の羅列である(ECサイト用の商品名やスペックなど)
  • 文章の内容や概要をざっと把握するだけでよい
  • 外国語がわかる、または外国語に堪能なスタッフが身近にいるので、自分たちで翻訳を校正できる
  • 翻訳した文章の最後に、「自動翻訳(機械翻訳)を使って翻訳しました」といった免責事項を加えて利用できる

納期を重視する場合

自動翻訳(機械翻訳)がおすすめ

翻訳納期を重視する場合も、自動翻訳(機械翻訳)を選択することに異存ありません。なぜなら、自動翻訳(機械翻訳)を使えば瞬時に作業が完了するので、納期といっても自動翻訳(機械翻訳)の利用準備に掛かる時間程度で、実質的に納期は存在しないといっても過言ではないからです。ただしこの場合も、「ある程度の翻訳品質の劣化」を許容できるかどうかが判断基準になります。いくら納期が短くても、完成した翻訳が使えない場合は、改めて別の翻訳者への依頼が必要となるなど、かえって時間が掛かってしまうこともあるのです。

品質を重視する場合

品質とその他のバランスで選ぶ

ここまでに述べてきた内容に共通している自動翻訳(機械翻訳)の利用条件は、「コストと納期を重視するが、それ以外の条件は犠牲にしてもよい」ということですが、実際にそのようなケースはほとんどありません。コストと納期のいずれかを重視する場合でも、一定の翻訳品質は求められるものです。そこで重要になってくるのが「翻訳の品質を元にした翻訳方法の使い分け」ですが、具体的には次のとおりです。

高品質の翻訳を求めるなら

人間翻訳

中品質の翻訳で良いなら

クラウド翻訳ポストエディット

低品質の翻訳でも良いなら

自動翻訳(機械翻訳)

これは「品質」を「料金」に置き換えても同じですが、それぞれの翻訳方法の品質と特長は次のとおりです。

人間翻訳
  • 熟練のプロ翻訳者による翻訳
  • 選択肢のなかではもっとも翻訳品質が高い
  • ただし他の方法より翻訳料金は高い
クラウド翻訳
  • クラウドソーシングの仕組みを活用した、一般的なレベルの翻訳者による翻訳
  • 登録者のあいだで競争原理が働くので、通常の人間翻訳より料金が下がる可能性がある
  • ただし対応した翻訳者の能力により翻訳の品質が左右する
  • 翻訳チェックやネイティブチェックの工程がない(場合が多い)ため、翻訳ミスがそのまま納品される可能性がある(オプションでチェックを依頼できる場合もあり)
ポストエディット
  • 自動翻訳(機械翻訳)した文章を翻訳者が修正する翻訳
  • 自動翻訳(機械翻訳)を元にした翻訳なので、一から翻訳者が翻訳するより料金を抑えることができる
  • ただし自動翻訳(機械翻訳)の精度によっては、翻訳者が修正し切れない可能性もある
  • 修正に掛かる労力とコストが見合わないことから、対応には難色を示す翻訳者も多い
自動翻訳(機械翻訳)
  • 自動翻訳(機械翻訳)ソフトウェアを用いて行う翻訳
  • 無料または、有料でも減価償却が早く、もっとも低コストで翻訳できる
  • ただし翻訳品質は自動翻訳(機械翻訳)ソフトウェアの精度に依存する

このようにそれぞれの方法は翻訳の品質面での特長が大きく異なるため、「必要な品質レベル」を基準とした上で、ほかに必要なこととのバランスで選ぶことが肝要です。具体的には次のとおりです。

コストと納期を重視する場合

自動翻訳(機械翻訳)または、ポストエディットかクラウド翻訳がおすすめ

翻訳コストと翻訳納期の両方を重視する場合の選択肢は次のとおりですが、いずれの場合もコストはあまり変わらない可能性があります。

自動翻訳(機械翻訳)がおすすめなケース
  • 翻訳品質を問わない場合
  • 高い翻訳品質が必要ではない場合
  • 自身、自社で校正できる場合
ポストエディットかクラウド翻訳がおすすめなケース
  • 自動翻訳(機械翻訳)以上の品質が必要な場合
  • しかし人間翻訳ほど高い品質は必要でない場合

尚、ポストエディットとクラウド翻訳には次のような違いはありますが、いずれも熟練の翻訳者が行う人間翻訳よりも「早い、安い、そこそこの品質」を売りにしているため、原稿の内容が難しい場合は対応する翻訳者が見つからず、納期に間に合わない可能性もあります。

ポストエディットとクラウド翻訳の違い
  • ポストエディット:原稿が自動翻訳(機械翻訳)に適しているかどうかでその後の修正に必要な負荷が決まるため、翻訳会社によって見積もり金額が異なる場合がある
  • クラウド翻訳の場合:料金が固定されている場合が多い

納期と品質を重視する場合

人間翻訳→クラウド翻訳→ポストエディットの順で検討する

「翻訳の品質を重視する場合」とは、「自動翻訳(機械翻訳)の品質では要求を満たせない場合」を指しますが、料金と品質の関係と同じく、納期と品質も互いに相反する要素であることを理解しましょう。つまり、翻訳の料金と納期、品質は次のような関係があるということです。

料金が高い 品質が高い
料金が低い 品質が低い
納期が長い 品質が高い
納期が短い 品質が低い

必要以上に長い納期にあまり意味はありませんが、十分な納期を確保することは翻訳品質を高めるためになによりも大切です。その上で「翻訳の納期と品質を重視する場合」、つまり「翻訳に品質を求めつつも、できるだけ短い納期で翻訳したい場合」は、求める品質によって「人間翻訳→クラウド翻訳→ポストエディット」と順を追って検討していくとよいでしょう。検討のポイントは次のとおりです。

  • 高品質が期待できる人間翻訳で、どこまで短い納期対応が可能か
  • どの程度までクラウド翻訳の品質を許容できるか、許容した場合にどれくらい納期短縮が可能か
  • どの程度までポストエディットによる翻訳の品質を許容できるか、許容した場合にどれくらい納期短縮が可能か

人間翻訳でも、翻訳支援ツールの活用や、複数名の翻訳者による作業同時進行である程度の納期短縮は可能です。クラウド翻訳の場合は、原稿を分割して何人かの翻訳者に依頼することもできるでしょう。ポストエディットは三つの選択肢の中ではもっとも短納期を実現できる可能性がありますが、自動翻訳(機械翻訳)翻訳したものを修正した翻訳であるため、十分な品質が確保できない可能性があります。

品質とコストを重視する場合

人間翻訳→クラウド翻訳→ポストエディット→自動翻訳(機械翻訳)の順で検討する

翻訳の品質とコストはもっとも相反する要素であり、どちらか一方を重視する場合は他方を犠牲にする必要があります。しかし翻訳に求める品質とコストと言ってもある程度の幅があると思いますので、翻訳に求める品質によって「人間翻訳→クラウド翻訳→ポストエディット→自動翻訳(機械翻訳)」と順を追って検討していけばコストを下げていくことができます。

最後に

このように翻訳方法はさまざまであり、今回大きく4つに分けて紹介した翻訳方法には以下のようにさらに細かな違いがあります。また、お客様によって翻訳する目的、翻訳に期待する成果、翻訳依頼先に求める内容(コスト、納期、品質など)はさまざまですので、それぞれの要素のバランスが上手くとれるところを探すことこそが賢い翻訳方法の使い分け方」になるのです。

自動翻訳(機械翻訳)
  • 無料の自動翻訳(機械翻訳)が汎用性を重視している
  • 有料の自動翻訳(機械翻訳)は特定の分野に絞って翻訳の精度を高めている
  • ゆえにすべての自動翻訳(機械翻訳)の品質レベルが同じとは言えない
ポストエディット
  • 将来的に翻訳がすべて自動翻訳(機械翻訳)移行するまでの、新しい翻訳方法として注力している翻訳会社や企業も多く、サービス内容や料金にも多少の違いがある
クラウド翻訳
  • サービス提供各社それぞれが差別化を図っている
  • 電子ファイルがアップロードできる、ダウンロードできる、ネイティブチェックに対応している、など
人間翻訳
  • 得意分野、対応できる言語、実績、業歴、規模など、翻訳者や翻訳会社によって違いがある

まとめ

以上、「賢い【翻訳方法の使い分け方】」でしたがいかがでしたでしょうか。

当社は翻訳の目的や、翻訳する文書の特徴、性質などを正しく理解、見極め、相手国の文化的背景を念頭に、ホームぺージ契約書取扱説明書、プレゼン資料、リリース、ゲーム、アプリその他あらゆるビジネスで必要なドキュメント、テキストの「プロ翻訳者による翻訳」を、英語を中心に世界85か国語で行います。

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