2023.09.29

インターブックスでの翻訳業務管理効率化の取り組み:翻訳管理システム「XTRF」とは

インターブックスでは、社内でのさまざまな業務のデジタル化を推進しております。先日は経理業務のデジタル化についてご紹介しました。今回は翻訳案件を進める上での周辺業務や案件管理自体をデジタル化し、より効率的に業務を進めていくツールである翻訳管理システム「XTRF」の活用についてご紹介したいと思います。

そもそも翻訳のプロセスとは?

一般的な翻訳案件は以下のようなフローで進んでいきます。

この一連のフローを担当のPM(プロジェクトマネージャー)が一括して管理しています。
PMは複数案件を並行して進行します。また、多言語翻訳案件の場合は複数のベンダー(翻訳者 、翻訳チェッカー、DTPオペレーター)の進捗を管理する必要があります。

当社では、各翻訳業務フロー間での連絡は基本的にメールで行われていました。
さらに、データ転送や請求及び支払いはそれぞれ他のシステムが使用されていました。

例えば、ベンダー情報はデータベースで検索し、その後メールで案件の打診を実施。指定ベンダーと連絡が取れなかった場合は、同じ内容のメールを複数のベンダーに送信し、同時にデータも転送…案件終了後も、ベンダーへの支払いやクライアントへの請求のため、また異なるシステムに手入力…など、フローは決まっているものの、1つ1つの作業を行うプラットフォームが異なること により、工数が増えていました。

また、各PMの案件状況や業務状況の把握もリアルタイムでできず、アプローチ状況や増加傾向がある案件のカテゴリなどの情報 管理と分析ができていませんでした。

翻訳管理システムの導入

ここまでの課題を解決するためには、大きく3つのポイントを改善する必要があると考えました。

1.営業活動、案件進行管理、ベンダーマネジメントというプロセスの情報がすべて集約されたデータベース機能を有するシステムを使用した「情報の一元化」
2.個々のプロジェクトマネージャーによった進行方法やファイル処理などの属人性の排除した「プロセスの標準化」
3.メールを介したファイルの送受信やベンダー選定の工数を削減するための「プロセスの自動化」

そこで弊社は翻訳管理システム(TMS:Translation Management System)の導入を決定いたしました。

まず、TMSを使用することで、営業活動、案件登録、ベンダー管理までの一連のプロセスに関する情報がすべてTMS上に集約されます。
さらにその情報はリアルタイムに更新され、使用者全員が漏れなく取得可能です。

続いて、システムを利用することによって作業フローやフォーマットの標準化を図ります。
システムを介して作業依頼を行うことで、作業者はいつも同じ場所からファイルをダウンロードし、決まったフォーマットに記載された情報を確認可能になるので、業務発注の際の煩雑さが緩和されます。
また、作業フローが可視化されるので、依頼しているベンダーや進捗状況などがすぐに把握できます。

最後に、プロセスの自動化です。
ファイルをアップロードし実行すると、翻訳プロジェクトが自動作成され解析が行われるため、システムへの分量入力も自動的に実行が可能です。
事前にワークフローを作成しておけば、翻訳者のアサインやチェッカーへのファイルの受け渡しもシステムが実行するため、待機時間が削減され、作業済みファイルを次の作業者に渡すためだけの残業や休日出勤業務がなくなります。
また外注費の支払いについても、自動化することが可能になります。

翻訳管理システム「XTRF」

当社が採用した翻訳管理システムは、「XTRF」です。

XTRFの基本機能
1.プロジェクト管理
2.顧客情報管理
3.CATツール(翻訳支援ツール)連携
4.ベンダー/クライアントポータル
5.CRM機能
6.ファイルストレージ
7.案件自動化

特に当社では1.プロジェクト管理機能に付随したベンダー管理機能と3.CATツール連携機能を積極的に使用することで、業務効率が大幅に改善いたしました。

また、XTRFには、ベンダーを管理する機能があります。
言語ペア、単価、得意分野、対応可能分野、稼働状況などの詳細なベンダー情報を入力し、管理することができます。
案件を受注後、入力済みのベンダー情報と受注した案件の情報をXTRFがマッチングし、ベンダー候補がリストアップされます。従来よりも少ない工数で適切なベンダーを選ぶことが可能になりました。

続いて、XTRFとCATツールの連携では、プロジェクト開始前の見積り作成段階で連携している翻訳ツール により対象ファイルを解析、その解析結果で簡単に見積りを作成することができます。受注した場合は、見積り作成に使用した翻訳ツールでのプロジェクトをそのまま作業用としてベンダーにXTRF経由で展開することができるため、迅速に発注処理ができるようになりました。

XTRF導入後、煩雑だったワークフローは、下図のようにシンプルとなりました。
当社では2022年10月よりXTRFを段階的に導入してまいりましたが、2023年10月より翻訳案件の見積りから請求までの一連のフローのみならず、翻訳事業の全業務において導入・運用する運びとなりました。
XTRFの利用を通して、全業務の大幅な業務効率化とさらなる翻訳品質向上に取り組んでまいります。

XTRFの概要については以下の紹介動画をご覧ください(日本語字幕)
https://youtu.be/KYL9rLaE2zg?si=tpcS0GBPbf6WRjP6

XTRF社 公式サイト
https://xtrf.eu/
2010年、単一言語のみ取り扱うLSP(Language Service Provider)として創業。幅広い種類の言語ペアの翻訳とローカリゼーション業務の提供を開始し事業規模を拡大する一方、その過程で生じた業務課題を解決すべく翻訳管理システム「XTRF」を開発、他社へ提供。現在350を超える世界の言語サービス企業で利用されています。

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